外来振り返りでビタミンB12欠乏の患者さんがいました。H2-Blockerとメトグルコ®を内服しており、Food-Cobalamin Malabsorptionでは無いかという議論になりました。

https://www.omicsonline.org/instructionsforauthors-blood-disorders-transfusion-open-access.php

Food-Cobalamin MalabsorptionとはビタミンB12を食物や小腸の輸送タンパクから分離できなくなるため欠乏を来たす状態で吸収不良を起こす悪性貧血などとは違います。診断基準ではビタミンB12の摂取量の低下がなく、Schilling試験が正常(吸収は大丈夫)、modified Schilling試験は異常(タンパクと結合したビタミンB12は吸収されない)などが挙げられています。

高齢者のビタミンB12欠乏の原因で上位になる疾患です。下記の160人の年齢の中央値は約70歳です。

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ちなみに食物中のビタミンB12は下記のように吸収されます。

① 胃の酸性環境でペプシンの助けを借りてタンパクより分離される
② 唾液より分泌されるR-binderというタンパクと胃で結合する
③ 十二指腸で膵液のプロテアーゼがR-binderを分離させ、分離したビタミンB12が胃壁細胞より分泌された内因子と結合する。
④ そのあとも色々とややこしいのだが、結局回腸末端で吸収される。

なので誘因としては

・萎縮性胃炎、ヘリコバクター・ピロリ菌感染
・H2-Blocker, PPI
・メトホルミン
・Sjogren、強皮症
・膵外分泌異常(慢性膵炎、アルコール多飲)
・消化管内細菌増殖、AIDS

などが挙げられます。

ビグアナイドはカルシウムのhomeostasisを変化させ、ビタミンB12-内因子の腸管への吸収を抑制するからのようです。じゃあ吸収不良やん、それってFCMなん?と思ってしまいました。