高度AS+消化管血管異形成、鉄欠乏性貧血でHeyde症候群を疑う患者さんがいました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14571395

Heyde症候群とは高度ASに消化管血管異形成からの出血を伴う病態です。
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渋いオジサンですね。

高度ASではせん断応力(Shear stress)が通常のAortaの10倍以上になります。その状況ではADAMTS13でvWFが小さな分子に切断され、またvWF-血小板の相互作用が強まり血小板の減少やvWFの劣化/除去が強まり、結果としてvWFの高分子モノマーが消費されます。
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この病態はVon willebrand diseaseではType 2Aに分類されます。Von Willebrand Factor(vWF)は傷ついた血管内皮下層に血小板がくっつくのを仲介します。より高分子であるほど血小板凝集促進作用が強くなり、一次止血に重要な役割を来しています。そのVWFをせん断応力依存性に切断するのがADAMTS13です。ADAMTS13が欠損している場合は超高分子多量体が出現し、微小循環系で血栓が多発するのでTTPとなりますね。

ASがあると血管異形成ができやすくなるわけではないようなあるような。どちらの報告もあるようです。

消化管血管異形成は右半結腸に最も多いですが、胃や小腸・他の大腸の部分にもできます。血管異形成では毛細血管の括約筋が拡張することにより細動脈から粘膜下静脈にほぼ直接つながり、せん断応力が上がっています。そのためvWF高分子モノマーが定常状態を保つために必要ですが、それが消費された状態では出血が起こるという機序です。

診断はvWF多量体解析が必要で、活性や定量だけでは診断できません。