日本プライマリ・ケア連合学会 学術集会に参加させていただきました。そこで教えてもらった論文。PIDの診断って難しいですよね。

そもそもCDC 2015ではSexually activeな女性やPIDのリスクを持つ女性が骨盤部 or 下腹部痛を認め、PID以外の原因がなく、診察(内診)で下記の3つのうち1つでも認めればPIDの治療に入るべきとされています。

https://www.cdc.gov/std/tg2015/pid.htm

<Minimum Clinical criteria>
・子宮頸部可動時痛
・子宮圧痛
・付属器圧痛

 また以下のような特徴はPIDの可能性を上げるとされています。
・38.3℃以上の発熱
・粘液膿性分泌物 or Cervical fragility(これは何と訳すのでしょうか?)
・膣分泌物の検鏡で白血球異常増多
・赤沈亢進
・CRP上昇
・淋菌またはクラミジアの子宮頸管感染を検査で証明 

そしてPID診断により特異的なものとして以下が挙げられていますが、病院総合医では簡単にできるものではないですね。

・子宮内膜の生検で子宮内膜炎の所見を認める
・経膣エコーやMRIで厚い液貯留を伴った頸管±骨盤内液貯留、卵管卵巣複合体(tubo-ovarian complex)もしくはドップラーで子宮頸管の感染の所見(卵管出血)あり
・腹腔鏡でPIDの所見あり

以上より内診の重要性がクローズアップされているわけなのですが、今回はPIDの診断においてCDCのcriteriaがどれくらい有用かを調べた論文。14-37歳の651名の横断研究でPID診断のゴールドスタンダードとして子宮内膜生検が使用されています。

https://www.ajog.org/article/S0002-9378(01)40681-8/abstract

inclusion criteriaは下記の3つです。③があればかなりPIDらしいのでは・・と思いましたが当初①と②だけでやると子宮内膜炎の割合が低く③を追加したようです。

① 急性の腹痛
② Pelvic tenderness
③ 下部生殖管の炎症がある(白色帯下、粘液膿性子宮頸管炎、検査でクラミジア・淋菌陽性)

生検で子宮内膜炎を認めたのは47.7%でした。各所見の感度、特異度などは以下の通り。

スクリーンショット 2019-05-20 12.34.06

LR+が2を超える所見がほとんどありませんね。LR-も0.5を下回るものがありません。CDCのcriteiaも微妙なものです。淋菌・クラミジアのPCRはすぐに出る検査ではありません。

ですのでPIDの診断は現実的には各所見の有用性は限られており、除外診断を尽くしPIDの可能性が残れば淋菌/クラミジアの検査を提出し、治療を行うというのが現実的でしょうか。

内診は本当はするべきなのでしょうが、なかなかハードルは高いです。しかも上記の結果を見ると有用性は限られますね。かといってしないでいいというわけではないですが・・とお茶を濁して終わります。