以前の沖縄の日本病院総合診療医学会で学んだ症例。復習しようと思っていましたが遅くなりました。
sick03-1
22歳女性が2日前からの脱力で救急外来を受診した。昼寝から起きると体が動かしにくくなっていた。四肢の筋肉に痛みを感じている。嚥下は問題なく膀胱直腸障害もない。バイタルは問題なく、意識は清明。感覚に異常はないが四肢の反射は低下、異常反射はなし。筋力は四肢・体幹で落ちていた。 血清K値は1.4mEq/Lと下がっており、CK2460と上昇。

血液ガス:pH 7.42 PCo2 32, HCO3 21, AG 9
尿電解質:Na 53, K24.3, Cl 143

低K血症の原因は? 





















「トルエン中毒」
・詳細な問診で彼女は時々スプレーペイントをしており、2日前も行っていた。尿検査で馬尿酸の上昇を認め、トルエン中毒と診断した。

・トルエンは安息香酸→馬尿酸に代謝されるが、馬尿酸はクリアランスがいいので血中AGは上がらない代謝性アシドーシスを来すこともある。腎不全が合併すると上がる。
・陰イオンである馬尿酸が排泄される過程で、集合管で電位差が上昇し陽イオンであるKが(NaやNH4も)排泄されるため低K血症を来す。
・尿中NH4が上昇するため、尿中AGは陰性となり尿中Osmolal gapは上昇する。
・症状は低カリウム血症による筋力低下、嘔気・嘔吐がある。
・他のLabo異常としては胆道系酵素の上昇や低リン血症、腎障害を来す。
・慢性中毒によりRTA-1(遠位尿細管性)を起こすこともある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22642292

というわけで低K血症なのにアシドーシス、尿中AG陰性などでトルエン中毒を想起しましょう。

近位尿細管性アシドーシス(HCO3-再吸収低下)だと低K、尿AG、尿pHが高いとよく似たプレゼンテーションになるのかな?でもカリウムこんなに下がらんか・・。