尿路感染と思われるGNR菌血症の抗菌薬治療を入院中は点滴で行いますという報告に内服に変えたら?という提案をした時に引用した論文。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30667477

腸内細菌群の菌血症患者でOral-step down therapycontinued parenteral therapyを比較した 1:1 propensity score–matched cohort. 腸内細菌にはCitrobacter species, Enterobacter species, Escherichia coli, Klebsiella species, Proteus mirabilis, Serratia marcescens.が含まれます。

Eligibility criteriaには
・感染源がコントロールされている
・治療開始5日以内に良好な反応が得られている
・感受性が良好な内服抗菌薬がある
・食事や内服が可能
・Day5でPitt bacteremia scoreが1点以下(このScoreは体温、意識などで0-14点での評価)

Oral-step down therapy群は治療5日目に内服に変更されます。一方continued parenteral therapy群では治療完遂まで点滴で抗菌薬が投与されます。
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Outcomeは30日以内のMortality30日以内の同一菌種の菌血症再発入院期間です。

結果として4697名を調査し、2161名が組み込まれ、Propensity score matchingにより1478名(両群 739名)を比較した。項目は以下の通り。
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菌血症の感染源は尿路が40.2%、消化管が20.1%、中心静脈カテーテルが18.4%、呼吸器が3.9%、皮膚軟部組織が2.8%であった。Oral-step down therapy群は中央値3日、continued parenteral therapy群は中央値14日点滴治療を行われていた。

30日Mortalityは13.1% vs 13.4%(HR, 1.03; 95% CI, 0.82-1.30)、30日再発は0.8% vs 0.5%(HR, 0.82; 95% CI, 0.33-2.01)であった。入院期間は5日 vs 7日であった。

というわけで早期に内服スイッチしても死亡率や再発率に差はありませんでしたが、使われている内服薬はキノロン系が多いので注意は必要です。
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こういう内服スイッチや治療期間系は結構キノロン系が使われることが多いので、少し実臨床と離れてしまいますね。