血清総蛋白の正常値は6.5-8.0mg/dLで約60%がアルブミン、約20%がγグロブリンです。他はαとかβグロブリンもありますよね。ですので正常ではTP 6.5 Alb 4.5、 γグロブリンは1.3-1.6mg/dLくらいですね。

なので例えばTP 7.6, Alb 2.2のときは蛋白アルブミン乖離しており、γ-グロブリンが上昇していることが予想されるわけです。

次に考えることはそのγグロブリンがPolyclonalかMonoclonalかです。検査としては蛋白分画(serum protein electrophoresis:SPEP)、免疫固定法(Immunofixation electrophoresis; IFE)、血清Free light chainなどがあります。

SPEPはこんなやつです。
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IFEはこんなやつ
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SPEPよりIFEの方が微量なMタンパクを検出できます(SPEPのMタンパクの検出感度: 100mg/dL、IFEの検出感度: 5mg/dL). MMの感度はSPEPのみ82%、SPEP+血清IFE:93%. SPEP+血清IFE+尿 IFE:感度 97%と言われています。

https://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196(15)00895-2/abstract

私はMMを強く疑うときはSPEPに加えて血清IFE/尿IFEもしますが、あまり疑わないときはSPEPのみ(簡便で安い)にしています。

ちなみにBense-Jonesタンパク(軽鎖)は尿定性にはほとんど反応しないので、尿定性で(-)でも疑う際には定量(尿Tp/Cr)しましょう。

血清Free light chainは最も微量なMタンパクを検出可能です( κ 0.15mg/dL, λ 0.3mg/L.). κ/λ比(正常比 0.26-1.65)でcheckします。

これらの検査でMタンパクをcheckし、γグロブリンがPolyclonalMonoclonalか判断します。

Monoclonalな場合多発性骨髄腫(MM)やMGUSを考えますが関連疾患として下記のものがあります。
・POEMS症候群
・TEMPI症候群
・Systemic Capillary leak syndrome
・Schnitzler syndrome

Polyclonalな場合慢性炎症が最も多いですが、顕著に認める場合には下記の鑑別があります。
・AITL
・Sjogren症候群、RA
・AIHなどの肝疾患
・Castleman病
・HIV
・IgG4関連疾患

<追記>
また逆にTP 5.3 Alb 4.2のように近づきすぎている場合も異常です(逆乖離と当院では呼んでいます)。γグロブリンの値が低値ということですね。つまり低γグロブリン血症の鑑別になります。

原発性はCVID(Common variable immune deficiency)と選択的IgA欠損症を覚えておきましょう。

二次性は下記のようなものがあります。
・Multiple myeloma(軽鎖型、IgD型、非分泌型など)
・蛋白漏出性胃腸症、ネフローゼ症候群
・Good症候群
・薬剤性(リツキシマブ、ベリムマブ、ステロイド、TKI inhibitor、カルバマゼピン、バルプロ酸)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4259107/
 
MMは軽鎖型、IgD型、非分泌型ではM peakが存在せず、正常グロブリンの産生が抑えられるため、逆乖離が起こります。注意しましょう。