外来振り返りで鑑別に挙がりました。

35歳男性が1年前からの頸部の鋭い痛みと咽頭の異物違和感で受診した。頚部痛は右の耳まで広がる。嚥下時痛や嚥下困難は認めていない。診察上、右の扁桃窩に骨ばった隆起を触知した。
Unknown
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1703542

診断は? 





















「Eagle's syndrome」

・CTで両側に通常より長い茎状突起(右 5.5cm, 左 5.2cm 通常 2.5-3.0cm)が認められ、右の茎突舌骨靭帯は骨化していた。Eagle's sydrome(茎状突起過長症候群)と診断した。
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・この患者は扁桃茎状突起切除術を受けた。両側の茎状突起が切除され、症状は速やかに消えた。 
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・Eagle's syndromeは頚部痛喉の異物感嚥下障害を3徴とする稀な疾患である。顔面痛や舌の伸展時痛、耳痛、耳鳴、頸動脈圧迫による虚血などを起こすこともある。口蓋扁桃を介して突起が触れ、症状が誘発できることもある。診断はX-rayもしくはCTで行う。
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・茎状突起過長は全体の約4%に認めると言われるが、そのうち症状を来すのは4-10%なので、あるからといって必ずこれが原因というわけではない。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/57/3/57_160/_pdf