適々斎塾の復習中。

18歳女性が2年間で徐々に進行する右手の筋力低下と筋萎縮を主訴に受診した。診察上、短母指外転筋の萎縮と筋力低下を認めた。小指外転筋と第1背側骨間筋の軽度の萎縮もある。また前腕の内側にしびれを認めた。
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https://academic.oup.com/qjmed/article/111/11/831/5040730

神経伝導検査では内側前上腕皮神経の電位を認めず、正中神経の電位が低下していた。

診断とこの手の所見は?





















「胸郭出口症候群に伴うGilliatt-Sumner hand」

・MRIで腕神経叢の下位のねじれと圧迫する繊維帯を認めた。
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・胸郭出口症候群の神経障害は腕神経叢の下位が狭窄した場合に起こりやすい。
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Gilliatt-Sumner hand短母指外転筋の強い萎縮骨間筋、小指外転筋の萎縮はあるが、正中神経領域の感覚障害を認めない所見。感覚障害を認める場合は前腕内側の事が多い。

手根管症候群と間違われそうですね。手根管症候群の感覚神経はC6-7、運動神経はC8-Th1です。

少し話は変わりますがALSのSplit handもここらへんの話です。頚椎症では尺骨神経支配(C8>Th1)の小指外転筋と背側骨間筋は一緒に萎縮しますが、ALSでは短母指外転筋と背側骨間筋は萎縮しますが、小指外転筋は比較的保たれます。短母指外転筋は正中神経(Th1>C8)支配ですね。