爪シリーズが終わったので舌シリーズをぼちぼち始めます。50歳男性が1ヶ月前からの労作時呼吸苦で受診し、汎血球減少(Hb 3.3 MCV 133 WBC 1900 Plt 19000) を指摘された。診察で舌がなめらかでつやつやとしており、舌苔が無かった。
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https://www.jstage.jst.go.jp/article/tenrikiyo/21/2/21_21-012/_pdf/-char/ja

診断は?





















「ビタミンB12欠乏に伴う萎縮性舌炎」 

・本症例ではビタミンB12が低値であった。抗壁細胞抗体が陽性であり悪性貧血と診断した。ビタミンB12補充で舌所見は改善した。
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・舌炎はビタミンB12欠乏の約25%に見られる。Hunter舌炎とも呼ばれる。最初は炎症により輝く紅い班が舌に出現し、続くと舌乳頭が萎縮し、表面の50%以上を占めるようになる。焼けるような痛みや痒み、舌感覚異常、味覚障害などがある。下の写真の白い矢印部分が紅斑。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3761039/

・萎縮性舌炎を起こす他の原因としては鉄欠乏、葉酸欠乏、ビタミンB2/3欠乏、カンジダ舌炎、Sjogren症候群、梅毒、アミロイドーシス、Celiac病などが挙げられる。