RAの治療でバイオを使う時に怖いものの1つが潜在性結核の再活性化です(約10倍)。バイオの1つであるTMF-α阻害薬はマクロファージの活性を抑え、貪食により抗酸菌を隔離する能力を下げます。他のバイオと比較してもTNF-α阻害薬は潜在性結核の再活性化の割合が高いとされています(Adjusted HR 4.31)。

TNF-α阻害薬の中でもInfliximabはTNF-αだけでなく、T cellの活性化を抑制しINF-γの発現を低下させます。そのため同じTNF-α阻害薬のエタネルセプトと比較しても潜在性結核の再活性化のリスクが高いかもしれないとされています。

https://academic.oup.com/cid/article-pdf/39/8/1254/5906667/39-8-1254.pdf

下の図はReal worldのデータで他の因子を調節したAdjusted HRはInfliximabとエタネルセプトで有意に差が出ました(HR 4.34)。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30561745

再活性化した場合、多くはInfliximabを中止し抗結核薬を開始するのではないかと思いますが、その際にIRIS(immune reconstitution inflammatory syndrome:免疫再構築症候群)が起こりやすい?という話。AIDSとTb両者の治療する時が多いみたいですが、non-HIVのTb治療だけでも報告はあります。結核性リンパ節炎109名の報告では23%に見られ、中央値 46日後に出現、中央値67.5日続いたようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15825042

ちなみにIRISはUnmasking IRISParadoxical IRISに分かれます。元々顕在化されていなかった疾患が治療後に顕在化するのがUnmasking IRISで、元々の疾患が再発、悪化するのがParadoxical IRISです。結核治療後にはリポアラビノマンナンと言った抗原への暴露が増え、TNFが誘発されサイトカインカスケードが活性化されることがIRISを引き起こします。

そしてInfliximabとIRISの関係ですが、抗酸菌IRISの場合CD4+ T cellによるTNFとINF-γの産生が上がっておりIRISの機序に関係していると言われています。ですのでPSLが効かない抗酸菌IRISにInfliximabを使用したという報告があるくらいです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26394669

Infilximabを使用していた284名中6名で粟粒結核を発症し、そのうち4名でIRISを認めた(だいたい1〜2ヶ月後に)報告もありました。つまり結核の治療による抗原への暴露の増加とInfliximabの中断による免疫再構築がIRISを引き起こす可能性があるということですね。Infliximabの効果は中止後もだいたい3-4週続くようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15714425

IRISの出るタイミングは2-3ヶ月後が多いですが、数日後に出た症例もあるそうです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=19956004

免疫系は複雑に絡み合いますね。勉強になりました。