生来健康の24歳男性が下肢のびらんが悪化したと救急外来を受診した。この5日前に発熱、頭痛、咽頭痛、咳で近医を受診しウイルス性咽頭炎として対処療法されていた(A群β溶連菌迅速検査は陰性). 2日前より両下肢に皮疹が出現し臀部に広がってきた。かゆみや痛みはなく、海水や淡水への暴露は無かった。

バイタルに問題なく、口腔内に潰瘍や発赤は認めなかった。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25874067

診断は?





















「マイコプラズマ感染に伴う白血球破砕性血管炎」

・血液培養陰性、肝炎ウイルス、HIVスクリーニング陰性、MPO/PR3-ANCA陰性であった。
・皮膚生検で表皮の海綿状変化と表皮下水疱、膿疱があり小血管周囲に好中球が優位で好酸球をほとんど認めず、白血球破砕性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)の所見であった。マイコプラズマIgM 1327 (normal: 0.90-1.09)、IgG 2.20 (normal: 0.90-1.09)でマイコプラズマ感染に伴う白血球破砕性血管炎と診断した。
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・コルヒチン、ステロイドを使用し3日ほどで水疱は破れ皮疹は軽快傾向となった。
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・皮膚白血球破砕性血管炎は皮膚小血管性血管炎であり、Purpable purpuraを呈する事が多いが血管炎が生じる深さによって紅斑、潰瘍、水疱、蕁麻疹様など多彩なプレゼンテーションを取る。薬剤(ペニシリン系、セフェム系、NSAIDs)や感染(溶連菌、肝炎ウイルス、パルボウイルスなど)、癌関連(MDS、固形がん)、膠原病(ARV、IgA vasculitis)などの二次性を除外する必要がある。

・ マイコプラズマで肺炎をきたすのは3-10%であり、多くは頭痛・筋痛などと共に上気道症状を起こす。肺外症状で皮膚関連は25%程度に生じる。Erythema multiformeなどの紅斑から、Raynaud症状(寒冷凝集素症)、Stevens johnson syndrome様Fuch症候群(粘膜病変のみのSjS)、や粘膜炎を起こす。

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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1614484 

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https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2737057

・本症例のように二次性白血球破砕性血管炎を起こすこともあるが稀である。報告例を診ると糸球体腎炎、関節炎、脳炎、網膜血管炎、膵炎などの他の臓器障害を伴う事が多いようである

・肺外症状は他にも心血管系(心筋炎、心内/動脈血栓)や神経(Opsoclonus-myoclonus syndrome、脳炎、髄膜炎、小脳炎、脊髄炎、GBS)、血液(溶血性貧血、TTP)、難聴、中耳炎、結膜炎などが言われている。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26858701