ヘパリン抵抗性の鑑別は何でしょうか?

ヘパリン抵抗性は35000 IU/day以上投与してもAPTT延長の反応が得られなかった際に考慮します。ヘパリンはATⅢ(アンチトロンビンⅢ)を1000倍に活性化し、第Ⅹa因子とトロンビン(第Ⅱa因子)を阻害し抗凝固作用を発揮します。ちなみにATはⅢ以外がもうないため、Ⅲを付ける必要はもうないようです。

ヘパリン抵抗性の原因としては
① ATⅢの減少:最も多い
② ヘパリン結合蛋白の増加
③ ヘパリンクリアランスの増加:肝疾患の脾腫など
④ 第Ⅷ因子増加;ヘパリンは効果があるが、APTTが伸びない

重要なのはやはり①でしょうか。①は先天性と二次性のATⅢ欠損に分かれます。二次性の原因は以下の通りです

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5998275/

先天性ATⅢ欠損症は日本人では0.18%と推測され、これは欧米(0.02-0.17%)と同等のようです。常染色体優性の遺伝疾患で10代に血栓症を発症する事が多い。

ATⅢ欠損の検査をするタイミングは難しい。
・ワーファリン、直接Ⅹa因子阻害薬(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)や直接トロンビン阻害薬(アルガトロバン、ダビガトラン)内服中ではアンチトロンビン活性が上昇する。
・ ヘパリンはアンチトロンビン活性を低下させる。 

本来は急性期を過ぎたあとに抗凝固薬を中止して2週間ほどたったあとに測定するのがいいが、なかなかこの疾患を考える場合はそうもいかないですよね。

例外としてUp to dateには以下のような場合が書いてありました。
・AT欠損症の家族歴があり、すぐ診断をつけることで治療が変わってくる場合(緊急手術、急性の血栓塞栓症)
・ヘパリン治療でaPTTが治療域に達せず血栓塞栓が進行し、AT欠損症が判明した場合治療が変更になる(AT補充治療や抗凝固療法変更)場合。
・ALL患者でアスパラギナーゼが使用され、AT欠損症が判明した場合AT補充療法を検討する場合。

検査するタイミングを逃さないようにしたいですね。