15歳女性が口周囲の痛みを伴う皮疹を主訴に受診した。皮疹は右口角より始まり48時間で写真のように進行した。また38度台の発熱と頬粘膜にもいくつか有痛性の潰瘍を認めていた。潰瘍のため食事ができない状態であった。彼女は6年前にネフローゼ症候群と診断され再発を繰り返し、今も3週間前よりPSL 60mgを内服している。

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https://www.bmj.com/content/366/bmj.l5014

診断は?





















「HSVによる歯肉口内炎(gingivostomatitis) 」

・頬粘膜と口唇周囲の水疱のHSV PCRが陽性であり、HSV(単純ヘルペスウイルス)による歯肉口内炎と診断した。3日間のアシクロビル点滴治療で熱は下がり、10日後には皮疹も改善した。

HSVの歯肉口内炎は口唇周囲の水疱の周囲を紅斑がHalo-likeに囲み、中心部分は薄くなっているのが特徴で、ヘルペスの初感染の特徴である。次第に合体し破裂しかさぶたとなる。歯肉や口腔内粘膜に有痛性の潰瘍を起こす。発熱を伴う前駆期が先行する場合もあり、リンパ節腫大を伴うこともある
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12626280

・指に感染することもあり、Herpetic Whitlowという。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3503926/

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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1711479

歯肉口内炎は初感染が多く、子供(6ヶ月〜6歳)に起こるが、成人に起こっても良く2nd peakは20代前半である成人の方が小児より症状が強い

・免疫正常であれば症状は強くないことが多いが、免疫抑制状態であれば限局的な病変でも広範囲になったり播種性(肝炎、脳炎、Sepsis like)になることもある。