舌シリーズぼちぼち再開。

62歳男性がフォローアップの外来で舌が黒くなったと訴えた。彼は大量喫煙、飲酒をしており8ヶ月前に喉頭の扁平上皮癌と診断され放射線療法を行われたが再発し、手術を行われた。舌の黒さは受診4週間前より出現し、特に症状は伴わなかった。抗菌薬の前投与はなかった。スワブでの細菌・真菌培養は陰性。
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https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(11)00408-6/fulltext

診断は?



















「Black hairy tongue」

・Black hairy tongueと診断され、飲酒喫煙は控え舌と歯をブラシし衛生環境を整えるように指導されたがアルコールは飲み続け、少し良くなったものの6ヶ月後も完全には消失はしなかった。

・Black hairy tongue(別名 Lingua villosa nigra)は舌の糸状乳頭にケラチンが蓄積した状態である。糸状乳頭が伸長かつ肥厚することによる落屑不良が原因でデブリスや細菌が過増殖するためとされている。茶色や緑色、黄色になることもある。側面や舌の先端は侵さない事が多い。症状はなく、良性疾患である。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2292769/

・アルコール、喫煙、口腔内不衛生、放射線治療後、口腔内感染、薬剤(テトラサイクリン、リネゾリド、オランザピン、ビスマス)、唾液量低下などと関係する。

・鑑別疾患は黒色表皮腫(通常唇も侵す)、hairy oral leukoplakia(白い)、真菌感染などがある。