多領域にまたがる脳梗塞では心原性や大動脈プラークの関与を考えますが、悪性腫瘍関連も重要な鑑別の1つです。今回は3領域にまたがる脳梗塞は悪性腫瘍関連の可能性が高いのではという論文。先日、うちのチームメンバーに紹介しました。

https://cp.neurology.org/content/9/2/124

悪性腫瘍関連64名、心房細動(Af)を持つ167名の脳梗塞患者の頭部MRI-DWIを調べたa single-center retrospective analysis. 悪性腫瘍もAfも持っている患者は除外。TTSを認めた悪性腫瘍の内訳は肺癌 6名、消化器系 5名、残りは腎癌、Lymphoma、乳癌、子宮頸癌が1名ずつ。

Three territory sign(TTS)とは「血管支配領域を両側の前方循環と後方循環に分けて、その3つ全てでDWI 高信号を認める」と定義されている(下図)。
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結果は以下の通り。TTSを認めるのは悪性腫瘍関連の約1/4を占めた。対してAf関連では3.6%であった。

TTSは悪性腫瘍関連について感度 23.4%、特異度 96.4%であった。
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