18歳男性が臍周囲の疼痛を主訴に救急外来を受診した。彼は2年前に別の病院を臍から浸出液が出ることで受診しており、その時は皮下膿瘍と診断され、ドレナージと抗菌薬で治っていた。診察では臍周囲に圧痛を認め、浸出液は無かった。超音波検査では低エコーの嚢胞構造物が臍より筋層を貫通している像が見られた。
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https://www.cmaj.ca/content/191/20/E562

診断は?



















「尿膜管嚢胞感染」

・エコーで筋層を貫通していることより、皮下膿瘍ではなく尿膜管嚢胞の感染と考えられた。CTでも腹壁の下に嚢胞病変を認めた。感染への対処が行われた後に尿膜管遺残の摘出が行われた。
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・尿膜管は胎児発達の段階での膀胱から臍までの発生管である。胎児の尿を臍帯より母体に流している。通常生まれた段階で尿膜管は閉鎖するが 、閉鎖が不十分だと尿膜管遺残となる。尿膜管遺残は4つのtypeに分かれる。

1. 尿膜管開存(patent urachus)or  尿膜管瘻(urachal fistula)
2. 臍尿管洞(umbilicalurachal sinus)
3. 尿膜管性膀胱憩室(vesicourachal diverticulum)
4. 尿膜管嚢胞(urachal cyst)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11259707

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・感染は尿膜管遺残のよくある合併症である。稀に悪性化することもある。下の写真は尿膜管開存の感染。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1601380