原発性アルドステロン症(Primary aldostenonism;PA)は二次性高血圧の一種です。二次性高血圧の鑑別は年代で分けるとわかりやすい。中年以降の二次性高血圧の鑑別ですね。最もcommonな二次性高血圧の原因と言われます。血圧だけでなく、心不全・脳卒中・心筋梗塞・心房細動などのリスクになるため早期発見/治療が重要です。

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https://www.aafp.org/afp/2010/1215/p1471.html

<原発性アルドステロン症のSubsypeは?>
・Subtypeは以下の通りです。家族性も一部あります。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23701121

<PAを疑うタイミングは?>

1. Stage 2(systolic/diastolic>160–179/100–109 mmHg) or Stage 3(>180/110 mmHg)のHT
2. 薬剤抵抗性の高血圧(3剤以上でも>130/80 or 4剤以上でコントロール)
3. 低カリウム血症/利尿薬誘発低カリウム血症を伴う高血圧(低カリウムを伴うPAは全体の30-50%程度)
4. 副腎のincidentalomaを伴う高血圧
5. 若年発症高血圧の家族歴 or 若年発症(40歳以下)の脳血管イベントがある高血圧
6. PAの第一親等の患者


・睡眠時無呼吸症候群の患者にもPAが隠れているようなのでスクリーニングしてもいいかもしれません。

<薬剤が検査に与える影響は?>
・検査はARR(Aldosterone-to-Renin Ratio:PAC pg/ml / PRA ng/ml/h)でまず行います。ただ薬剤が入っているとARRに影響を与えます。薬剤抵抗性の際にPAを鑑別に入れることも多いとおもいますが、高血圧をほっておくわけにもいかないので薬剤中止がしにくい場合も多いのではないでしょうか。

利尿薬(K-sparing and K-wasting)はARR testの4-6週間前には中止が推奨。その他は中止しないで検査してしまってもまずは良いのではと思います。各薬剤のPRA、PACに与える影響を知っておくと内服が継続されていてもARRの解釈ができます。
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・よく入っているであろうACE-I、ARB、Ca-blockerはどれもARRを減少させるので、その状況下でもARR>200なら原発性アルドステロン症の診断ができますね。それでもARRが微妙な値の場合には、薬剤を変更して2-4週間後に再検しましょう。上記の論文ではベラパミル、ヒドララジン、α1アンタゴニストが推奨されています。
・NSAIDsや甘草、経口避妊薬なども影響を与えます。

<ARRの他の注意点は?>
・ARR>200の感度78%、特異度83%ですが、PRA(Plasma Renin Activity)<0.6ng/mlの時は解釈は難しいです。なのでPAC>150を追加条件としている場合もありますが、偽陰性が増えてしまう可能性もあります。確定診断(機能確認検査)が必要ですが、低カリウム血症・レニン感度以下・PAC>200では確定診断としてしまってもいいです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26934393