読んでいるブログで紹介されていた論文。「入院でのベッド上安静の害」についてです。入院では1/3の患者がADLが落ちることは以前にも紹介しましたね。



https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=30014112

最近のモバイルセンサーを使った研究では、多くの患者はベッド上に安静にしており、ADLが正常で運動制限がない患者でも平均わずか45分しか離床しませんでした。約1000歩でも歩くとADL低下を予防できると言われています。動かないのが一定の閾値を超えると急激にADLに悪影響(Harmful effects)があります。
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入院で患者のADLを落とさないようにすべきこととして以下のようなものがあります。

① 入院時に患者のADLを評価し、病歴や身体所見と共にカルテに記載する
・患者や介護者に入院前2-4週間のADLを聞く。このことはベースラインを理解するだけでなく、入院を通じてのゴールを設定に役立つ。
・看護師の評価も役に立つ。

② 入院時に患者のmoblity planを作成する
・入院早期に計画を立てる。退院時ギリギリに作らない。
・患者に目標を伝える。目標の段階の1例が以下の通り(the Hospital of the University of Pennsylvaniaのもの). 意味のないベッド上安静指示はやめる。
・ADL低下がある場合はカルテのProblemに“functional decline” や “impaired mobility”と記載する。
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③ 日々看護師などのコメディカルや回診時に患者とmobility planについて話す

これは大切な視点ですね。私は入院患者さんを診る際に以下のような視点で見ていますが、Functionalの一部として注意しておきましょう。

・Biomedical:病態
・Ethical:死生観、心肺停止時の対応、Advance care planning
・Functional:ADL、嚥下機能、視力、聴力
・Social:家庭環境、社会保障、医療/介護とのかかわり
・Psychosocial:認知機能、抑うつ、意欲