44歳男性が扁桃腺肥大の手術適応で耳鼻科にコンサルトがあった。彼は3年前にいびき、日中の倦怠感などから重症のOSA(Obstructive Sleep Apnea)と診断され、夜間CPAPをしている。しかし、日中の倦怠感と早朝の頭痛は継続していた。受診の数ヶ月前より彼は自分の下顎が上より前に出てきていることに気づいた。喉を診察すると巨舌両側の扁桃腺肥大を認めた。

詳しく聞くと昨年より舌と手が大きくなっており指輪をはめれず、足のしびれと腫脹を自覚していた。
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https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2758633

診断は?




















「Acromegaly」

・巨舌、扁桃腺肥大、下顎前突症、手足の腫大などからacromegalyが疑われ、IGF-1: 720ng/ml、GH: 11.1ng/mlと上昇しており診断された。頭部MRIでは下垂体腺腫を疑うmassを認めた。

・OSAの割合は一般人口で15−30%であるが、acromegalyでは69%にも及ぶ。よってacromegalyの患者ではOSAのスクリーニングがすすめられている。しかし、acromegalyは100万人に6人というrare diseaseであるため、OSAの患者にacromegalyをスクリーニングすることは必要ないとされる。

・Acromegalyのよくある訴えは眉弓部の膨隆鼻や口唇の肥大などでの「顔面が変わってきた」である。他の訴えには手足が大きくなって指輪がはめれない、いびき、無気力、高血圧、糖尿病、手根管症候群、関節痛などがある。拳を握って指が手掌の中心に集まらないFist sign陽性である。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30853479