47歳男性が2週間で進行する両下肢の筋力低下としびれ、膀胱直腸障害で受診した。発熱、寝汗、体重減少は認めていない。身体所見ではTh10以下の振動覚が低下しており、両側大腿内側面の感覚低下と筋力低下を認めた。MRIではTh9-L2までT1 isodense, T2 やや高信号で造影効果を認めるmassを硬膜外に認めた。
スクリーンショット 2020-01-29 11.45.08
スクリーンショット 2020-01-29 12.12.48
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4431015/

診断は?





















「Primary spinal epidural lymphoma」

・除圧のための部分的片側椎弓切除術と腫瘍の切除が行われた。病理では小リンパ球の浸潤を認め、CD20, CD3, CD5, Bcl-2, Cyclin D1が陽性でCD23, CD10は陰性であった。CTや頭部MRIではリンパ節腫大などの異常所見を認めず、骨髄生検でも異常はなかった。小リンパ球性リンパ腫と診断し、放射線療法とCHOP療法が行われた。

Epidural lymphomaは硬膜外腫瘍の9%を占め、全てのリンパ腫の0.1-6.5%に認める。場所は胸椎が75%を占め、頚椎は10%. 全脊椎と頭部のMRIは行うべき。T1 isodense、T2 iso-hyperdenseで造影効果は強い。他への浸潤も見れることがある。
スクリーンショット 2020-01-29 12.29.09
スクリーンショット 2020-01-29 12.28.43
スクリーンショット 2020-01-29 12.41.24
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3190427/

・硬膜外腫瘤の鑑別は転移性腫瘍、硬膜外膿瘍/血腫、血管脂肪腫、脂肪腫などがある。転移性腫瘍の原発は肺癌、乳癌、リンパ腫、形質細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌などがある。

https://radiopaedia.org/articles/spinal-epidural-mass