話題の論文を科内の抄読会で読みました。我々はドレーンを入れすぎてたのかもしれませんね・・。

スクリーンショット 2020-02-14 11.03.33
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1910775

316名の初回片側気胸患者をすぐにchest tubeを入れる群(Intervention Group)保存的に診る群(Conservative-Management Group)に分けたopen-label, multicenter, noninferiority trial. 

この論文の注目ポイントは気胸の程度が思ったより強いことです。組入基準ははCollins methodで32%以上虚脱している(interpleural distancesの合計が6 cmより大きい:%Collins = 4.2 +4.7(A+B+C))患者です。これがどれくらいか患者群の平均は65くらいなのでこれくらいです。結構!
スクリーンショット 2020-02-14 12.06.58

Intervention group12Fr以下のchest tubeを入れて1時間後にレントゲン撮影。肺が広がっていれてリークが無ければクランプして、4時間後に患者の状態が落ち着いていてレントゲンで再発無ければ抜去して退院。早い!ウォーターシールが推奨されています。tube留置しても改善しない、再発した場合は医師に判断が任せられる。

Conservative-Management Group最低4時間は経過観察しレントゲン撮影。観察後に酸素必要とせず特に問題なく歩行できれば、鎮痛剤処方で外来通院。以下のようなことがあれば介入可。
・鎮痛薬を使っても症状あり
・移動を妨げるほどの痛み、呼吸苦
・保存療法を患者が嫌がった
・患者状態(血圧、SpO2など)が不安定
・状態の不安定さを伴うレントゲン上の気胸悪化

その後はランダム割付後24、72時間、2週、4週、8週に外来でフォロー。毎回レントゲン撮影とアンケートを行う。電話で6ヶ月、12ヶ月後に気胸再発の有無を聞いた。

The primary noninferiority outcomeはランダム割付後8週間以内のレントゲン上の気胸改善。非劣勢マージンは9%に設定。α 5%で20%drop outと推定し342名必要と計算。

結果:患者群は以下の通り。平均年齢は20代中盤、症状の持続時間は約40時間。
スクリーンショット 2020-02-14 12.00.42

Conservative-Management Groupは162名中25名が介入された。Intervention groupでは10名はチューブ留置を断った。The primary noninferiority outcomeはIntervention group 129名(98.5%)、Conservative-Management Group 118名(94.4%)で95% confidence interval は−8.6 to 0.5で非劣勢が証明されました。

56日以降欠損データを全て失敗にしたSensitivity analysesでは95% confidence intervalは−18.4 to −3.5で非劣勢を満たさなかった。

Secondary outcomeは以下の通り。入院期間や仕事を休む期間はやはり保存群の方が短いですね。
スクリーンショット 2020-02-14 12.15.38

合併症は以下の通り。介入群の方が多いですねえ。
スクリーンショット 2020-02-14 12.14.40

56日以降の欠損はたぶん治っているから来ないんでしょう。ドレーン入れない場合でも治ることが多いんですね。慎重に診ながら、少なくとも1回刺しで良いのかもなあ。