Paroxysmal sympathetic hyperactivity:PSHについて。恥ずかしながら知りませんでした、反省。。

PSHとは「脳損傷後に外的刺激に反応して交感神経/運動神経が過剰に発作的に反応する現象」です。外的刺激は体位変換や吸引、清拭/入浴などを含み、症状としては頻脈、頻呼吸、高血圧、発汗、高体温、ジストニア姿勢などがあります

スクリーンショット 2020-03-01 18.53.29
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30100010

以下のようなscoreもあります。鑑別診断はてんかん(NCSE)、薬物離脱、悪性症候群、Sepsis、脳圧亢進、鎮痛不十分など。
スクリーンショット 2020-03-01 19.01.03

2010年までに349のcase reportがありますが、80%が外傷性脳損傷、10%が低酸素脳症、5%がstroke、その他5%が水頭症、腫瘍、低血糖、感染などで起こっています。

機序についてはExcitatory:inhibitory ratio modelという説があります。通常は皮質、視床下部、視床などの様々な部位が脳幹に活動調整シグナルを送っていて、PAG(periaqueductal grey;中脳水道周囲灰白質)はこの経路の中継地点の1つです。これらの脳幹核は脊髄反射弧を抑制しており、運動神経や交感神経の遠心系の抑制と興奮のバランスを取っていて、これにより通常の感覚刺激が入っても過剰に反応しない様になっています。しかしPSHでは下降する抑制系が遮断され、不適切に脊髄回路が興奮し、少しの刺激(吸引など)で運動神経や交感神経が過剰活性化されてしまうというものです。
スクリーンショット 2020-03-01 11.00.42
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28816118

治療は刺激を避けること、β-blocker(インデラル®)、オピオイド(フェンタニルやモルヒネ)、ガバペンチン、ベンゾジアゼピン、プロポフォールなどがあります。
スクリーンショット 2020-03-01 19.08.31
スクリーンショット 2020-03-01 19.09.03