70歳女性が脳梗塞で入院し、尿道カテーテルを留置された。留置10日目に尿が紫色になった。尿検査では白血球を認め、phは8.0であった。

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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1905446?query=TOC

何を考える?





















「尿中の細菌の影響を考える」

・尿培養からはKlebsiella pneumoniaeが検出された。彼女に特に感染徴候は見られなかったため、抗菌薬は使われず、輸液負荷が行われ4日ほどで尿の色は元に戻った。

・この現象は「Purple urine bag syndrome」と呼ばれる。食事中のトリプトファン腸内でインドールに変換・吸収され、肝臓で代謝されて硫酸インドキシルになる。尿に排泄されるとアルカリ環境下であれば、硫酸インドキシルは細菌のインドールスルファターゼやホスファターゼにより分解されインディゴ(青)やインジルビン(赤)を形成し、混ざると紫色になる。
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・この現象はKlebsiella pneumoniae以外にもPseudomonas aeruginosa, Providencia stuartii, Escherichia coli, enterococcus species.などで起こる。患者は無症状のことも多い。
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31933590/

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https://academic.oup.com/ckj/article/6/3/344/429890

・便秘はトリプトファンの吸収を促進するためリスクの1つである。