今週のNEJM image challengeで知りました。下の写真の患者さんは78歳男性で90分前からの左上下肢麻痺で受診し、t-PAを投与されてから舌が腫れてきたようです。t-PAによる血管性浮腫と診断され、抗ヒスタミン薬とステロイドで治療されました。

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https://www.nejm.org/image-challenge?ci=20200611&startFrom=1&page=1

血管性浮腫はヒスタミン、ブラジキニン、その他を介するタイプに分かれます。ヒスタミンを介するタイプは蕁麻疹を伴い、原因と鑑別診断は蕁麻疹と同じです。ブラジキニンを介するタイプは遺伝性血管浮腫(hereditary angioedema:HAE)、後天性血管浮腫(acquired angioedema)、ACE阻害薬による血管性浮腫などに分かれます。HAEは遺伝性といいながら25%は家族歴がありません。

t-PA治療後の血管性浮腫は0.2-5.1%に見られる珍しい副作用です。ACE-Iを飲んでいる患者さんに多いようで、ACEはブラジキニンの分解に関与しており、tPAは高分子量キニノーゲンを切断し、ブラジキニンの生成につながります。その結果、血管性浮腫につながるブラジキニンの過剰産生と破壊の低下により血管性浮腫を起こすようです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27888208/

興味深いのは舌や唇の血管性浮腫は麻痺側の同側より腫脹する報告が多いようで、麻痺側の自律神経障害が血管運動の変化につながるのでは?と言われています。その目で見ると上の写真も左の方が腫れていますね。自律神経の調整に関与する島皮質や前頭葉に梗塞巣があると血管性浮腫が起こる可能性が上がるという報告もありました。

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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12743244/