最近EMA(EM Aliance)のメーリスに入りました。そこの文献紹介で知った論文。中国の単施設で行われたA型大動脈解離のretrospective observational studyです。D-dimer陰性も結構いるんですねえ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32738476

2014年1月~2018年12月までに入院した発症24時間以内のA型大動脈解離370例が対象になっています。D-dimer未検、悪性腫瘍既往あり、壁内血腫あり、妊婦は除外されています。

<結果>
D-dimer<0.55ug/mlを陰性と定義しており、D-dimer陰性だったのは9例(2.48%)だったD-dimer陽性例では無痛性は4.71%だったのに対して、陰性例では66.7%だった。多変量ロジスティクス回帰では白血球低値(OR 0.556, 95%CI 0.371-0.864)無痛性(OR 0.013, 95%CI 0.001-0.146)がD-dimer陰性と関連していた。
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またD-dimer陰性例では陽性例と比較して院内死亡率が各種調整しても低かった。
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無痛性ってどんなプレゼンテーションなんですかね。意識消失とか神経脱落症状とか?症状を訴えれないのとは違うんですかね。また解離腔との大きさとD-dimerが関連するという話も書いてありました。

ちょうど今月の総合診療のオール沖縄カンファレンスの症例もD-dimer陰性のA型大動脈解離で主訴は意識消失でした。そこではADD-RS(Aortic dissection detection risk score)が紹介されており、ADD-RS≦1+D-Dimer<0.5ug/mlなら見逃し率は0.3%になるようです。ADD-RSは以下の3項目からなり、それぞれの項目に1つでも該当すれば1点になります。参考になるかもしれません。
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29030346/

大動脈解離一般については以下の記事を参照ください。