61歳男性が1週間前からの咳嗽と胸部絞扼感で受診した。1年前に左主冠動脈に心筋梗塞を起こしている。心電図は以下の通り。
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33044860/

心電図に認める異常所見は?





















「ventricular late potentials (心室末期電位)」

・心電図上、V2-5にQ波とV2-6で1.0-3.0mmのST上昇を認めている。心筋梗塞後のST上昇の鑑別は梗塞後狭心症、再梗塞、心室瘤などがある。心筋逸脱酵素上昇なく、繰り返し取った心電図でも変化はなかった。超音波検査では左心室尖部の逆説的運動を伴う拡張を認め、心室動脈瘤によるST上昇と判断した。

またV1-6でQRS後に上向きの波を認め、これは梗塞後の傷による遅れた心筋の活性化である。これはVTと関連する。心筋梗塞後の心室末期電位は通常、振幅が小さく、通常の心電図ではほとんど見えないが本ケースのように見える場合もある。
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入院day2で頻脈発作を認め、心電図では心室細動を認めた。
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