今日なに読もう〜病院総合医の論文日記〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

膠原病

28歳女性 指全体が腫れた

他のブログで知った論文。面白そうなので読んでみました。

28歳女性が右第3指が急に腫れたため救急外来を受診した。痛みは夜に強くなり、朝には軽快する。診察上は右第3指全体が腫れていたのと、左第2指の爪が割れていた。採血では炎症反応の上昇は認めなかった。
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手指のレントゲン撮影が行われ、骨内に複数の嚢胞性病変と右第3指の中節骨は骨皮質の破壊と軟部組織の腫脹を伴う溶骨性変化を起こしていた。関節裂隙の狭小化は見られなかった。
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https://pubs.rsna.org/doi/pdf/10.1148/radiol.2019162264 

診断は? 




















「骨サルコイドーシス」

・骨サルコイドーシスが疑われたため、全身検索が行われたが肺やリンパ節に異常は見られなかった。途中、鼻に隆起状の皮疹が出現しLupus pernioが疑われたため皮膚生検が施行され、表皮と真皮に中心壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫と巨細胞肉芽腫を認め、サルコイドーシスと診断した。ステロイドとMTXで治療を行った。

・サルコイドーシスは20-40代の女性に多い肉芽腫性疾患であり、通常肺、リンパ節、眼、皮膚などを侵す。骨サルコイドーシスは全体の約5%ほどである。通常骨に罹患する場合は、肺や皮膚病変(lupus perdioなど)を持つ事が多い。
・骨サルコイドーシスの罹患部位としては四肢末端とくに手足の基節骨、中節骨に多い。サルコイドーシスに特徴的な肉芽腫が骨髄や骨皮質に形成され、骨吸収と破壊を生じて骨を脆弱化させる。両側に左右非対称の指炎(Dactylitis)を起こすことが多い。
・単純レントゲンでは嚢胞性病変骨溶解像を認める。 

ちなみに指炎と骨溶解の鑑別は以下の通りです。

・乾癬性関節炎
・痛風
・内軟骨腫
・骨転移
・Septic osteitis 

LV-GCAの関与動脈は?

最近、PETで診断したLV(Large vessel)-GCAを経験しました。後でエコーで見ると頸動脈、鎖骨下動脈に肥厚があり、「そっちでも診断できたか・・」という感じでしたので復習してみました。

LV-GCAの関与動脈は以下の通りです。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4425829/

上行大動脈、大動脈弓、腹部大動脈辺りは造影CTで評価するので、漏れやすいのは頸動脈鎖骨下動脈腋窩動脈辺りでしょうか。この辺りはエコーで評価してもいいかもしれませんね。圧痛があればわかりやすいのですが。上肢のClaudication、Bruit、上肢の血圧の左右差にも注意ですね。

あとはLV-GCAのreviewを読んでみました。勉強になった部分を箇条書きにします。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29982778

・GCAでは胸部大動脈の大動脈瘤に17倍なりやすい。LVの関与は思っているより多そう。
・LV-GCAはC-GCAに比べてPMR症状や上肢のClaudication、Bruit、上肢の血圧の左右差が多く、頭痛や側頭動脈圧痛、眼症状は少ない。ARも見られることがある。
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・PETの集積は肝臓より高い場合を有意とする(感度90%、特異度98%)
・大動脈瘤のフォローを経時的にすることを考慮する。

<追記>
large vessel vasculitisの画像検査については2018年にEULAR recommendationsが出ています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29358285

CTAは感度 73%、特異度 78%と微妙な数字(1つのsmall studyのみ). MRAについては感度特異度は不明。撮影方法について書いてあったので訳しておきます。

・1.5T、可能なら3.0Tが良い
・大動脈、頸動脈分岐部から腸骨動脈まで腋窩動脈や上腕動脈を含む。
・T1強調、脂肪抑制、造影での black blood imaging
・T2強調TSE imaging 

まあ放射線科と相談してから撮影するほうが良さそうですね。 

16歳男性 抗菌薬不応の多発膿瘍

色んな疾患を勉強していると知識が繋がる瞬間がありますね。今回のも皆で話していて話題に上がった病態。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23717000

16歳男性、発熱の精査で入院し脾臓に膿瘍らしき画像所見を認めた。血液培養は陰性で、empiricalな抗菌薬に不応であった。同時に関節炎、口腔内にアフタ性潰瘍、結節性紅斑を認めた。
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 診断は?





















「Bechet病に伴うAseptic Abscess」

・本症例では脾臓摘出術が施行され、黄色の結節性病変を多数認め、病理で好中球の浸潤があり細菌や真菌は認めなかった。
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・眼症状/陰部潰瘍は認めなかったがIncomplete Behcet病と診断した。HLA-B51は陰性であった(A24, B52, B60が陽性)。その後の経過は書かれていない。
・その数年後には多発の肝膿瘍を認め再入院した。 
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・ この時も各種培養陰性であり、コルヒチンに加えてプレドニン15mgで治療を行ったところ、症状や炎症反応、画像所見は改善した。
・無菌性膿瘍はIBD(特にCrohn病)に合併することが多い。好中球の浸潤。他にも壊疽性膿皮症やSweet病も同じ病態。多分針反応もそうですよね。

ちなみに知識が繋がったというのはBDに血管炎が合併するやBDとMDSの関係などです。色々起こしますね。

大動脈炎の鑑別は?

大動脈炎を見ると高安動脈炎かGCA以外の鑑別がなかなか思いつきませんのでメモ代わりに。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18541754

・細菌性:サルモネラ、梅毒、ブドウ球菌、肺炎球菌
・結核性 
・SLE
・Cogan syndrome
:角膜炎と内耳障害を伴う
・Bechet disease
・RA
・HLA-B27関連脊椎関節炎
MPA
・サルコイドーシス

ちなみに高安動脈炎とGCAの違いですがもう少し詳しくまとめます。

<高安動脈炎>
・内膜や中膜外側、外膜の繊維化や瘢痕化が激しく内腔狭窄に至りやすい
・大動脈壁の肥厚はGCAより分厚い

<GCA>
・中膜(特に内側)の炎症や壊死が激しく、大動脈瘤になりやすい
・部分的な大動脈の炎症を来す。"skip lesion"も一般的→結果として側頭動脈生検も偽陰性のことがある。 

高安動脈炎の皮膚病変とは

今日の朝のケース勉強会は皮疹で発症した高安動脈炎の症例でした。そのNEJMのケースは読んでおり、皮疹についても論文を集めていたのですが、完全に忘れていました。やはりインプットだけではだめですね。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1981565

80名の高安動脈炎の患者のうち、11名にRaynaud症状を認め、それ以外の皮膚症状を認めたのは10名(12.5%)であった。 5名は結節性紅斑、2名は潰瘍を伴う結節、1名は結節が自壊した壊疽性膿皮症様の潰瘍、1名はループス様の蝶形紅斑、1名はrivedo reticularis

生検的には肉芽腫性血管炎や脂肪織炎のようですね。
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あまり大血管炎で皮疹というのは考えたことがなかったので勉強になりました。 

ちなみに高安動脈炎と巨細胞性動脈炎は 血管の侵される部位が違います。高安動脈炎は中膜の外側と外膜がメインで、巨細胞性動脈炎は中膜の内側が侵されます。
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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