今日なに読もう〜病院総合医の論文日記〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

循環器

ACSにおける心電図Mirror imageについて

たこつぼ型心筋症の心電図を勉強しているとACSでのMirror imageなどを理解する必要がある。ということでメモ代わりに。

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Ⅰ. aVLは左室側壁
Ⅱ, Ⅲ, aVfは左室下壁
V1-4は左室前壁
V5-6は左室下側壁


最も対極的に位置するのはaVL下壁誘導
前壁誘導下壁誘導/後壁誘導も対極的と言われるが症例による。

Ⅱ, Ⅲ, aVfでST上昇している場合は右冠動脈(こちらが80%を占める)か左冠動脈回旋枝になりますが、下の特徴があれば右冠動脈らしいとなる。
・ST上昇の度合いがⅢ>Ⅱ
・Ⅰ, aVLでST低下(これは右冠動脈のMirror image)
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra022700

ST上昇をきたす前にaVLでT波陰転化やST低下が先行する場合もあるので注意。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24792939

右冠動脈では右室梗塞の合併をcheckするためにV1でのST上昇を見たり、右胸部誘導を追加する(この誘導でのST上昇は梗塞発生後12時間で消失する). aVLでST上昇があると左回旋枝らしくなる。

後壁梗塞の場合はいかにまとめてある通り、V1でのR波の高さやT波増高に注意です。これも後壁のMirror imageですね。

 

たこつぼ型心筋症と前壁梗塞の心電図の違いは?

たこつぼ型心筋症と前壁梗塞の心電図の違いはreciprocal changeがない、血流支配に沿わないST上昇などありますが、結局区別つかないこともあります(カテーテル検査が必要)。

参考にV1のST上昇aVRのST低下QTc延長をcheckする。

たこつぼ型心筋症33例と前壁梗塞342例の心電図を比較した。全員発症後6時間以内に入院している。たこつぼ群はV1のST上昇は少なく、aVRのST低下は多い。QTcはたこつぼ群のほうが延長していた(567 ±81ms vs.489±61 ms, p<0.001)

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20510222

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別の論文でもたこつぼの場合はV1のST上昇は認めなかったようです。

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25022798

上室性頻脈のアデノシンの反応

上室性頻脈にはPSVT、心房細動(Af)、心房粗動(AFL、特に2:1)、心房頻拍(AT)があります。治療や鑑別にアデノシン(アデホス®)を使うことが多いですが、使った際の心電図の変化をまとめます。アデホス®は洞房結節、房室結節に作用します。
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https://www.bmj.com/content/345/bmj.e7769

Frog signが出るAVNRTでは伸びたあと、停止します。補充調律が数回入るときもあります。AVRTではでも同様に停止し、Sinusに戻った際にデルタ波が見えます。

AVNRTとAVRTの心電図については以下でまとめています。


long RPになるATではアデホスを入れてもP波が残り止まらない事が多いです。focalなものでは止まることもあります。AfやAFLではf/F波がわかりやすくなり、再度頻脈になります。

84歳男性 PEA

心電図勉強で読んでいるCASES AND TRACESから。

84歳男性が胸痛後にCPAになり搬送された。初期波形はAystoleでCPRされ、搬送時にはPEAであった。心電図は以下の通り。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28630270

この心電図から疑われるCPAの原因はなにか?





















「交互脈で心タンポナーデや気胸が疑われる」

・心電図上、QRSの波形が1-2拍起きに変わっており交互脈である。これは心嚢水貯留や気胸、血胸などと関連する。心臓が心嚢水の中で動くことによる電気軸の変化呼吸による胸腔の変化によると考えられている。
・本症例では右の気胸がCTで認められ、胸腔ドレーン挿入にて交互脈は消失した。
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・PEAは原因精査と迅速な治療が重要である。交互脈があれば心タンポナーデや気胸、Osborn波があれば低体温、QRS幅延長があればTCA中毒など心電図は原因特定の手がかりになる。



PEAの原因は6H6Tと覚えました。カリウム、緊張性気胸、心タンポナーデ当たりはすぐ介入できるので忘れないようにしたいですね。すぐにエコー。薬物中毒は忘れやすそう。
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70歳男性 Wide QRS tachycardia

心電図の勉強をはじめました。CirculationのCase and Traceシリーズが良さそうです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29581367

70歳男性が数時間前からの動悸で救急外来を受診した。HT, DM, COPD, Afなどの既往がある。血圧110/50 HR 170であった。
 
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さてWide QRS tachycardiaの鑑別をどのようにしていますか? 鑑別としては
① VT
② SVT+元々ある脚ブロック or 頻脈に伴う機能性脚ブロック
③ SVT+副伝導路を通る

とりあえずVTを見逃さない事が重要です。VTの診断には房室解離の有無aVr Verckeiアルゴリズムを使っています。本症例では房室解離ははっきりとわかりませんが、aVrでR波からQRSが始まっているためVTと診断されます。他にはノッチの有無やR波が40mm sec以上でないか、Vi/Vt≦1でないかを見ます。

実際VTと診断され、プロカインアミド(アミサリン®)が使用されました。その後の心電図が以下です。
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wide QRSとnarrowが混ざっています。同時に340回/分の心房波があることから、本症例では「AFL(2:1や4:1)+副伝導路とAV nodeを通過」と診断されました。プロカインアミドが切れると以下のSinus rhysmになりデルタ波が認められました。
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ですので、VTの診断アルゴリズムを用いても診断が難しい症例があるようです。VTの薬物的治療にはアミオダロンとプロカインアミドがありますが、有効性と血圧低下の割合、半減期などからプロカインアミドが勧められていました。アミオダロンしか使ったこと無いなあ・・。
 
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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