今日なに読もう〜病院総合医の論文ブログ〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

感染症

52歳男性 水槽を洗った後の左腕の皮疹

52歳男性が水槽を洗った際に左手の人差し指を傷つけ、その後より左手が腫れてきたと受診した。傷は受傷2週間後より出現し、5ヶ月かけて進行した。発熱や全身症状はない。labo dataに異常なく、組織培養は細菌、抗酸菌(30 and 37℃)、真菌培養は陰性。

散財する赤く一部潰瘍を形成する丘疹結節性の皮疹を認めている。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27551035

診断は?

















「Mycobacterium marinum感染」

・皮膚生検では真皮に多核巨細胞、リンパ球、組織球、形質細胞を伴う肉芽腫を認めたが、抗酸菌は特別な染色でも見えなかった。生検結果や病歴よりMycobacterium marinum感染と診断した。ドキシサイクリンで治療を開始し、劇的に効果を認めた。

Mycobacterium marinumは淡水にも海水にも存在する。典型的には魚を扱ったり水環境での受傷から数週後に発症する。手の傷から入り皮膚リンパ型(リンパ管に沿って)に転々と皮疹を生じる場合が多く、スポロトリコーシスに似る。他の鑑別にはノカルジア、リーシュマニア、他の抗酸菌などがある。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/ENEJMicm000083

・全身症状は来さない事が多いが、関節炎や腱滑膜炎を来す場合もある。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm990217

・培養は陰性になることも多く、29例のケースシリーズでは49%で陰性であった。通常培養では生えにくく、M.ulceransなどと同様に低温培養(28-30℃)が必要なので注意。培養陰性の場合は生検やPCRなどを参考にする。 

創部感染で覚えておく水分系は、海水や肝疾患のある人の生の魚介類はVivrio vulnificus、淡水や汽水域ではAeromonas hydrophia、Edwardsiella tarda. Streptococcus iniaeは海水、淡水どちらも。

他にあれば教えてください!

15歳女性 口周囲の皮疹

15歳女性が口周囲の痛みを伴う皮疹を主訴に受診した。皮疹は右口角より始まり48時間で写真のように進行した。また38度台の発熱と頬粘膜にもいくつか有痛性の潰瘍を認めていた。潰瘍のため食事ができない状態であった。彼女は6年前にネフローゼ症候群と診断され再発を繰り返し、今も3週間前よりPSL 60mgを内服している。

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https://www.bmj.com/content/366/bmj.l5014

診断は?





















「HSVによる歯肉口内炎(gingivostomatitis) 」

・頬粘膜と口唇周囲の水疱のHSV PCRが陽性であり、HSV(単純ヘルペスウイルス)による歯肉口内炎と診断した。3日間のアシクロビル点滴治療で熱は下がり、10日後には皮疹も改善した。

HSVの歯肉口内炎は口唇周囲の水疱の周囲を紅斑がHalo-likeに囲み、中心部分は薄くなっているのが特徴である。次第に合体し破裂しかさぶたとなる。歯肉や口腔内粘膜に有痛性の潰瘍を起こす。発熱を伴う前駆期が先行する場合もあり、リンパ節腫大を伴うこともある。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12626280

・指に感染することもあり、Herpetic Whitlowという。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3503926/

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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1711479

・歯肉口内炎は初感染が多く子供(6ヶ月〜6歳)に起こるが、成人に起こっても良く2nd peakは20代前半である成人の方が小児より症状が強い

・免疫正常であれば症状は強くないことが多いが、免疫抑制状態であれば限局的な病変でも広範囲になったり播種性(肝炎、脳炎、Sepsis like)になることもある。 

19歳女性 脱毛とリンパ節腫脹

19歳女性が2ヶ月続く耳の後ろと鼠径のリンパ節腫脹、脱毛を主訴に受診した。

診察上、耳介後部や後頚部、鼠径部に痛みのないリンパ節腫脹を認めた。また瘢痕化していない斑状の脱毛部位を複数箇所認めた。鏡検で真菌は認めなかった。
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https://www.bmj.com/content/366/bmj.l4555

診断は?





















「Syphilitic alopecia」

・RPR抗体価 64倍、TPHA陽性でSyphilitic alopeciaと診断した。ベンザチンペニシリンG筋注で治療を受け、2週間でリンパ節腫脹は消失し、3ヶ月で毛髪も元に戻った。

・Alopecia(脱毛)は2期梅毒の2.9-7%に合併する。脱毛の他の鑑別は抜毛症、円形脱毛症、頭部白癬などである。瘢痕化せず、“moth-eaten” appearance(虫食い状)と呼ばれる。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1804118

・また痛みのないリンパ節腫脹は1期、2期でよく認められる症状である。

68歳男性 首が腫れた

別チームでしたが以前この疾患で同じような所見の患者さんがいました。

68歳男性が2日前より首が腫れたと救急外来を受診した。彼は1週間前より歯の痛みを訴え、徐々に発熱と頸部の腫脹、嚥下困難感を自覚していた。開口障害、嗄声は認めなかった。

診察上、口腔底の腫脹を認め舌が上方に偏位していた。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1814117

診断とこの所見の名前は? 





















「Ludwig's anginaのDouble tongue appearance」

・口腔内は不衛生でありう歯が多数認められた。患者はLudwig's anginaと診断され、広域抗菌薬治療と気道閉塞所見が出ないか経過を見られた。気道閉塞所見は出ず、患者はう歯の治療も受け退院した。

・Ludwig's anginaはSubmandibular spaceの感染症であり細菌性口腔底蜂窩織炎である。頸部の腫脹と気道狭窄をきたしうるため、Killer sore throatの1つとして知っておく必要がある。う歯などの歯原性感染や咽頭炎が原因となる場合が多い。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm065036

・口腔底が腫脹することにより舌が2つあるように見える所見をDouble tongue appearanceという。
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https://casereports.bmj.com/content/2018/bcr-2018-225559

・別症例:口腔底が腫脹し、舌が後ろに偏位している。本症例では気管切開と口腔底の組織の外科的処置が行われ、唾石が原因と考えられたLudwig anginaであった。
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http://www.cmaj.ca/content/189/6/E246

というわけで頸部ばかり見ていましたが、口の中もう歯だけでなく口腔底の腫脹もcheckしましょう。

市中カンジダ菌血症の特徴は?

カンジダ菌血症は入院中でICU入室、好中球減少、血液透析、中心静脈カテーテル、広域スペクトラム抗生剤治療、高カロリー輸液、消化管穿孔などがリスクになりますが、市中カンジダ菌血症の特徴はどんなものがあるのでしょうか?

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17712471

1995-2005年の間に2400床の大学病院で外来 or 入院48時間以内のCandidemiaの56検体のretrospective review. Candidemiaの定義は感染の症状がある患者の血液最低1セットよりカンジダ属が検出とされている。

Group Aはtrue communityacquired candidemiasで30日以内に入院歴がなく、侵襲的手技もない群。
Group Bは最近入院歴がある群.
Group Cは侵襲的手技と関連する群で、C1は入院前に手技がある群、C2は入院後、C3は中心静脈関連のDeviceが入っていた群。
Group DはNursing homeから入院した群。

結果としては以下の通り。Group BとC3が多い。
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市中カンジダ菌血症患者では担癌患者 57.1%、DM 28.6%、慢性腎不全 26.8%、心血管疾患 25.0%を背景に持っていた。

消化管出血
46.4%、免疫抑制治療42.9%、抗菌薬使用歴が37.5%であった。
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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