今日なに読もう〜病院総合医の論文日記〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

呼吸器

肺の空洞性病変は壁の厚さを測ろう

肺の空洞性病変は肺癌や感染などで迷うことも多いですが、壁の厚さも1つの手がかりという論文。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27170221

96名(平均年齢55歳)の空洞性病変の壁の厚さ(最大の部分をaxialで評価)と原因を比較した。悪性が31%、非悪性が69%であった。

・非悪性のうち、抗酸菌(NTM)感染が50%、結核が39%、肺化膿症が12%、アスペルギルスが2%
・悪性のうち、94%が肺癌、6%が肺転移

壁の厚さの平均は悪性 51±28mm、非悪性 35±21mmであった。
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24mmのCutoffは悪性に対して感度13.3%、特異度100%
7mmのCutoffは非悪性に対して感度66.7%、特異度96.7%であった。

病変周囲の小葉中心性の結節影
は27例に認め、全て非悪性であった。
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ATPは喘息に禁忌

ATP(アデホス-L コーワ®)は上室性不整脈の際に治療や鑑別に使います。半減期が数秒と短いため、使う際は急速静注が必要です。

今回チーム内でATPは喘息には使ったらだめだよね?という話が出ました。ATPは気管支収縮を起こし、喘息を悪化させる場合があります。

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Up to dateにも以下の記載がありました。

https://www.uptodate.com/contents/adenosine-drug-information?search=PSVT&topicRef=943&source=see_link#F130658

Avoid use in patients with bronchoconstriction or bronchospasm (eg, asthma); dyspnea, bronchoconstriction, and respiratory compromise have occurred during use. Per the ACLS guidelines and the manufacturer of Adenoscan, use considered contraindicated in patients with asthma. Use caution in patients with obstructive lung disease not associated with bronchoconstriction (eg, emphysema, bronchitis).

しかし添付文書には喘息禁忌とは書いていない。

なぜか?アデホス-L コーワ®を急速静注する方法は適応外であり、添付文書には適応外の副作用なので載っていないとのこと。添付文書を見ると確かに効能効果に上室性不整脈のことは書いていません。注意が必要ですね。

「飯塚イズムで学ぶ 流れがわかる!呼吸器診療の歩き方」を献本いただきました。

総合診療のメッカでいつかは見学に伺いたい憧れの飯塚病院の呼吸器内科より「飯塚イズムで学ぶ 流れがわかる!呼吸器診療の歩き方」が出版されました。

そこで活躍中の大学時代の同期より献本いただきました。ありがとうございます!

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献本してくれた同期とは一緒に勉強会をしたり、ベトナムにでかけたり、海外から来た留学生をもてなしたりと色々しましたねえ。今も呼吸器内科で活躍のようでよく刺激を受けています。

しっかり引用論文もついていますし鑑別だけでなく実際のマネージメントについても網羅されています。まずはあまりUpdateできていない項目中心(腫瘍や手技)に読んでいます。最後に書類(指定難病や呼吸機能障害、介護保険)についても書かれているのが実用的ですね。

そして同期が書いているコラム「誤嚥性肺炎の哲学」がいい感じです。「肺炎は老人の友である」というウィリアム・オスラーの言葉深いですね。ご興味を持たれた方はぜひご一読を!
 

Trapped lungとLung entrapmentの違い

胸水ドレナージ後に気胸腔ができた際にTrapped lungかLung entrapmentかという話になりました。違いがわかりますか?

Trapped Lungは慢性炎症から臓側胸膜が肥厚が起こった結果(Fibrous peel)、肺が広がれない状態です。なのでドレーンで陰圧をかけて引いても広がりません。胸腔内は陰圧になり慢性的に胸水がたまります。引き金となる炎症は肺炎や血胸、自然気胸、CABG術後、膿胸、尿毒症、慢性的な漏出性胸水などです。ただ炎症はすでに治まっている場合をいいます。気管支内の腫瘍や異物による閉塞は除外が必要です。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1404964

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(Fibrous peelの例)

ですので廃液したとしても肺は広がらず速やかにまた胸水がたまります。ですので胸水ドレナージの適応になりません。通常無症状のことが多いですが、呼吸苦等がある場合は外科的処置の適応になります。

対して腫瘍や感染症などによる活動性の炎症によるものをLung entrapmentと言います。こちらは疾患別の介入が必要になり、胸腔ドレナージの適応になりえます。また治療により肺が広がり癒着することもあるようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2981182/

今回の症例は複雑性肺炎随伴性胸水であり、ドレナージが必要でした。なのでLung entrapmentですかね。

Early inspiratory crackleについて

回診でCOPDの患者の身体所見について話題になりました。COPDの身体所見といえばこの論文!徳田先生のものです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/46/23/46_23_1885/_article/-char/ja/ 

Early inspiratory crackleとはCOPD患者の口元(カラオケのマイクの位置)に聴診器を持っていき、 口を開けてもらって呼吸をしてもらった時に吸気の早期にパリパリというcrackleが聞こえる所見です。下記のような音です。



 % FEV1が40%以下のCOPD患者で聞こえると言われており、COPDの重症度を推測することができます。GOLD 3に当たりますね。

COPDの身体所見で自分が取るものは
・呼吸補助筋(胸鎖乳突筋)の肥大: 斜角筋を使っているのは拘束性肺障害
・Short trachea
・呼気時の経静脈の怒張
・吸気時の鎖骨上窩の陥凹 

この4つがそろえば1秒量は700ml以下と推測されます。80歳男性 身長165cmなら1秒量は計算上2522mlとなるので% FEV1が何となくわかりますね。

後は打診で心濁音界の消失は取るようにしています。Hoover徴候は苦手。。
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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