今日なに読もう〜病院総合医の論文日記〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

薬剤

46歳女性 夜間に過食

今日話題に出たので復習。

48歳女性が1年ほど前から夜間に知らないうちに過食するということで受診した。

寝て約1時間ほどで起き出し、1階の台所に行き、残り物を温めて食べて、散らかしたまま寝てしまうということを繰り返していた。彼女は食べたことはあまり覚えておらず、20kgほど太ってしまった。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2045714/

診断は?





















「ゾルピデムによる睡眠関連摂食障害」

・彼女は症状が起こる3週間前よりゾルピデム(マイスリー®)を内服していた。ゾルピデムを中止すると症状は無くなった。

睡眠関連摂食障害(Sleep related eating disorder;SRED)は夜間睡眠中もしくは半覚醒状態で無意識に食事や飲水を繰り返す状態。調理をすることもあり負傷することもある。

・ゾルピデムは前頭部を刺激する(特に半昏睡の時)ことによりSREDを起こすと言われており、女性に多い。他にも抗精神病薬(セロクエル®、エビリファイ®、ジプレキサ®)の報告がある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5885367/

睡眠薬は注意が必要ですね。

炭酸リチウムの副作用は?

炭酸リチウムの副作用を整理。あまり使い慣れている薬ではないので。甲状腺とか忘れがち。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5164879/

嘔気嘔吐:初期には10-20%に見られる。徐々に減る。
下痢
多尿多飲 :長期使用では70%に見られる。腎性尿崩症による。
振戦
体重増加
認知機能低下
性機能障害
甲状腺機能低下
Ca再吸収亢進副甲状腺機能亢進 

歯肉増殖を起こす薬物は?

チームで鑑別に挙がったので勉強。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24024043

45歳男性が1年前から歯肉が腫れ出血し、歯が抜けるということで外来を受診した。患者は1.5年前からアテノロール50mg、アムロジピン5mgを内服していた。
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診断は?





















「アムロジピンによる歯肉増殖」 
・アムロジピンによる歯肉増殖が疑われ、中止し歯科にコンサルト。抜歯や口腔内衛生を改善させた結果1.5ヶ月後には改善した。
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・Ca-blockerの中で歯肉増殖が多いのはニフェジピンでアムロジピンの報告は少ない。アムロジピンで起こる場合は10mgの報告が多い。
・線維芽細胞増殖因子の促進作用や葉酸吸収阻害、歯肉への毒性作用などが言われています。
・他の薬剤で有名なのはフェニトインシクロスポリンが有名ですね。

歯肉増殖は審美性の悪化、強い口臭、歯列不正、歯牙の動揺性などを引き起こすため注意が必要です。

トラマドールは低血糖のリスク

トラマドールはトラムセット®として慢性疼痛(変形性膝関節症や腰痛)に使われる頻度が増している薬剤ですが、様々な副作用があり個人的には注意が必要だと思っています。今回低血糖との関連の論文です。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25485799

UKで1998-2012年の間でnoncancer painにトラマドール or コデインを使われた患者334034名のコホート内症例対照研究(nested case-control analysis). UKでもトラマドールの使用数はどんどん増えているみたいです。

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コデインと比較しトラマドールは低血糖での入院率が高く(Adjusted OR 1.52 [95% CI, 1.09-2.10])、特に最初の30日が高かった(OR 2.61 [95% CI, 1.61-4.23])。30日を越えるとリスクは下がった(OR, 1.17 [95% CI, 0.78-1.75])

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トラマドールは他にも嘔気/嘔吐、めまい、便秘、眠気、倦怠感などの副作用を持ち、50歳以上の変形性関節症に使うと処方1年以内のmortalityが他のNSAIDsに比べて上がるという報告もあるので(セレコキシブと比較しHR 1.70、ナプロフェンではHR 1.71)、やはり安易に処方していいクスリではないかもしれませんね。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30860559

フルオロキノロン系と大動脈瘤リスク

先日、病院に大リーガー医が来てくれたときに教えてもらった論文。フルオロキノロン系はアキレス腱断裂のリスクになりますが、こういうことだったんですねえ。

https://www.bmj.com/content/360/bmj.k678

スウェーデンのNationwide historical cohort study. フルオロキノロン系使用者(78%がシプロフロキサシン)の360088回のepisodeとpropensity score matchingさせたアモキシシリン使用を比較。抗菌薬使用から60日以内の初回の大動脈瘤 or 大動脈解離のHazard ratioを計算した。

フルオロキノロン系使用は1.2/1000 person-year、アモキシシリン使用は0.7/1000 person-yearであり、大動脈瘤 or 大動脈解離のHRは1.66(95% confidence interval 1.12 to 2.46)であった。61-120日以内では大動脈瘤はHR 1.90(1.22 to 2.96)、大動脈解離はHR 0.93(0.38 to 2.29)であった。

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というわけでフルオロキノロン系は特に大動脈瘤のリスクと関係しているようですね。機序としては基質分解酵素の活性化タンパク質の産生低下酸化ストレスの増加などで腱細胞のタンパク質などを劣化させるようです。大動脈の強度は細胞外マトリックスに起因しているようで、基質分解酵素の活性化による作用により大動脈瘤などが起こる危険性が示唆されていたことにより今回の研究が行われました。

まあだからといって大動脈瘤をcheckするというわけではないですが、こういう機序なんだと勉強になりました。 
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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