今日なに読もう〜病院総合医の論文ブログ〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

医学教育

インストラクショナル・デザインについて

昨日から最後のFCME(Foundation Course of Medical Education)の参加型授業が始まりました。前半はシネメディケーションや絵本について、後半はインストラクショナル・デザインについてでした。

インストラクショナル・デザインについて勉強したことを復習しておきます。インストラクショナル・デザイン(ID)とは「教育活動の効果と効率と魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれを応用して学習支援環境を実現するプロセス」のことです。授業の設計だけではなく、最近ではより広範囲な教育システム全体に適応する場合もあるようでInstructional System Design(ISD)とも言うようです。

使えそうな概念をいくつか書いておきます。

ARCSモデル:教育研修の魅力を高めるIDモデル
学習意欲の問題点を下記の4側面より捉えて分析し、問題となっている点に特化した動機づけ方略を組み込む手順

・Attention(注意:面白そうだ)
・Relevance(関連性:やりがいがありそうだ)
・Confidence(自信:やればできそうだ)
・Satisfaction(満足感:やってよかった)

9教授事象;教育研修を効果的に進める要素。わかりやすい、すっと入ってくる研修はこの9要素が自然に入っているとされる。

スクリーンショット 2019-03-16 6.22.07 AM

個人的には1の注意を獲得するのが非常に大事ですね。聴衆の反応を見ながらここに割く時間を調整しています。

カークパトリックの4段階評価モデル:教育研修評価の標準。いつもレベル4からまず考えないと教育の価値を外に発信できない。

・レベル1:反応. 「研修は役に立ったと思いますか」
・レベル2:学習. 「合格基準への到達」
・レベル3:行動. 「研修終了後に職場行動が変化したか」
・レベル4:結果. 「職場行動が変化したことにより、組織全体の結果につながったか」

他にもSlow learner、経験学習、状況学習論、自己主導型学習などについて議論しました。これらが全てではもちろん無いですが、導入編としてとても勉強になりました。自分も研修を組み立てることもありますし、日々の教育の中でも上記のことに注意することで上手に教えられそうですね。

ご興味のある方は下記のHPもご参照ください。昨日の講師の先生方のHPです。
http://www.cps.kumamoto-u.ac.jp/syogaigakushu/koukai/id/
 

FCME中間発表会

昨日は今年度から受講しているFCME(Foundation Course of Medical Education)の中間発表会で京都の清風荘に集まり、FCMEの9ヶ月を経ての自分の変化をプレゼンテーションしました。

image
(清風荘は京都大学所有の重要文化財のようです。一般非公開!元内閣総理大臣 西園寺公望の別宅です。)

FCMEは「現場で働く指導医のための医学教育プログラム」で、医学教育について全国の仲間達と勉強しています。How toを学ぶというよりかは教育という解のない問題について皆でディスカッションすることがメインです。

https://www.k3kyoto.jp/fcme/about/

自分がこの9ヶ月で教育に対する姿勢で一番変わったのは「人は簡単には変わらない」ということを受け入れることでした。一種の諦めにも似たこの感覚は「教えることからの逃げ」、「自分が大切にしていることを受け入れてもらえないことへの恐れ」なのではと感じていましたが、それでも学習者の傍にいるのが大切なのかなと振り返りました。

参加者からはニーバーの祈りというものを教えてもらい、近い感覚は宗教の世界にもあるのだなと感じました。少し救われる気もします。FCMEでは医療や教育の現場を医学だけではなく、社会人文学や宗教学など多様な視点を提案してもらえるのも魅力です。

「God, give us grace to accept with serenity the things that cannot be changed, Courage to change the things which should be changed, and the Wisdom to distinguish the one from the other.」

「神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えて下さい。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/ニーバーの祈り

変えることのできないものは他で、変えるべきものは自分。というわけで変わらないものを無理に変えることはせず、学習者の内省とそこからの変化を上手く促せる教育者になりたいと思い、振り返りを重視しています。振り返りは難しく、上手く内省を促せる学習者に対する「問い」ができるようになりたい(場を動かせるような発言)と日々感じています。

一方で自分は以前サーバントリーダーだという評価を頂いたことがあるのですが自分が大切にしている感覚と非常に似ていました。

スクリーンショット 2018-12-16 5.20.00 PM


フロアからは、内省を促す問いはある意味学習者に侵襲性が高い(心をえぐるような)ものであるため、それができるようになると自分のサーバントさが失われるかもしれないと指摘がありました。

自己を開示し振り返りをする機会はなかなか無いので、非常に学び深いものになりました。他の参加者の実践/振り返りも勉強になりました。懇親会行って、服装についての話も聞きたかったです。。
 

過重労働って時間だけじゃない

以前、科内のリーダー会議で話題に出した論文。過重労働って時間だけではないですよね。FCMEでお世話になっている錦織先生の論文です。

日本の3つの教育病院 31名の初期研修医に対して行われた過重労働に対するインタビューの質的テーマ分析を行い、7つの過重労働の主観に影響する因子を抽出した。

① Interaction within the professional community(孤独でない)
② Feedback from patients(ポジティブなもの)
③ Being in control(自己決定権)
④ Professional development(学んでいる自覚)
⑤ Private life(プライベートがごたついていると仕事もつらい)
⑥ Interest(仕事が自分の興味のある分野とmatchしているか)

EPAについて

先日のネット講義で学んだこと。


EPA(Enstructable Professional activities)について

・学生、研修医を信頼して任せられる業務

・例:初診外来を担当できる、心肺蘇生のリーダーをできる、患者家族説明を1人で行う etc


自分はEPAをただの行動目標のように捉えていたが、EPAの重要なことは「任せられるかの判断が指導医の主観による」ということ。


現場の指導医に対する信頼であり、責任があるということだろうか。指導医の質評価が今後のTopicになっていくか。

プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

読者登録
LINE読者登録QRコード
記事検索
RSS
  • ライブドアブログ