今日なに読もう〜病院総合医の論文ブログ〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

皮膚

くも状血管腫の特徴について

くも状血管腫は肝硬変の患者によく見られますが、正常成人にも15%ほどで見られるようです。エストロゲン高値と関係しており、肝硬変以外にも妊娠や経口避妊薬内服でも見られますし、HHT(Hereditary Haemorrhagic Telangiectasia)でも認められます。

くも状血管腫は血管拡張の一種ですが特徴がわかりますか?くも状血管腫は中心が隆起した5-10mmほどの赤丘疹とそこから広がる赤い縞を特徴とします。病理上は、中心に壁肥厚した細動脈がありそこから周囲に壁の薄い毛細血管が広がっています。中心の細動脈は拍動しており、それを圧迫すると周囲の紅斑も消失するので見分けれます。顔面に最も見られますが、上肢や頸部、上半身にも見られます。

そんなくも状血管腫の1施設 retrospective studyを読んでみました。189名の患者の233のくも状血管腫をreviewしています。DermoscopyとDoppler USもreviewされています。患者の平均年齢は39.5歳、平均の大きさは4.1±2.0mmでした。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28960458

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この論文ではくも状血管腫のパターンは(a) Network pattern、(b) Star pattern、(c) Looping patternに分けています。Networkは普通の血管拡張に見えますね。それぞれの割合は以下の通り。Network(29.9%)<Star(43.3%)<Looping(64.7%)でDermoscopyでの拍動性が確認される率は高かった。

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なんとなく見ていたくも状血管腫も色々あるんだなあと再認識しました。

点眼薬開始後の紅斑/小膿疱の鑑別は?

66歳男性が紅斑/水疱が左腋窩から始まり体幹、腹部、顔面に広がったと受診した。水疱は破れ集簇した。皮疹は焼けるような痛みを伴った。彼は3日前よりシプロフロキサシンの点眼薬を結膜炎に対して開始されていた。粘膜病変は認めなかった。
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https://www.mdedge.com/ccjm/article/213108/dermatology/desquamating-pustular-rash

診断は?





















「点眼薬による急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)」

・採血では好酸球が7.8%と上昇し血液培養は陰性であった。皮膚生検では角質下にびまん性の海面状態と散在する好酸球、膿疱を認めた。これらより点眼薬による急性汎発性発疹性膿疱症(Acute Generalized Exanthematous Pustulosis:AGEP)と診断した。シプロフロキサシンの点眼薬は中止され、皮膚軟化剤・局所ステロイド・局所ムピロシンで治療され、3日ほどで改善した。

・AGEPの皮疹の特徴は紅斑を背景に無数の小さく、無菌性の、非毛包性の膿疱である。顔面や間隙性の部分から全身に広がる事が多い。発熱や好中球上昇、好酸球上昇を伴う。薬剤に関連する事が多く、抗生剤(ペニシリン系、ST合剤、マクロライド、キノロン系)・テルビナフィン・ジルチアゼム・ヒドロキシクロロキンなどが報告されている。薬剤暴露後、数時間〜数日(48時間以内)で起こる事が多い。点眼薬での報告は稀である。他には蜘蛛咬傷、Chlamydia pneumoniae、ウイルス感染(パルボ、サイトメガロ)なども関連すると言われている。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19620269

下の写真はヒドロキシクロロキン後に起こったAGEP。粘膜の関与は少なく20%以下であり、口が多い。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1401196

・AGEPの鑑別はStevens-Johnson syndrome、TEN、膿疱性乾癬、毛包炎、水痘感染などがある。治療は原因薬剤の中止が最も重要でそれだけで治癒することも多い。ステロイドを使用する場合もある。

むち打ち様皮疹を見た時に必要な問診は?

32歳男性が2日前より体幹にかゆみを伴わない皮疹が出現したと受診した。診察では引っかかれたような線状の皮疹が胸部、背部、肩部に認められた。
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https://www.mdedge.com/ccjm/article/109204/immunology/whiplash-shaped-acute-rash

聞きたい問診と診断は?





















「Flagellate erythemaで食事歴を問診する」

・彼はに皮疹が出現する2日前に中華料理を食べていた。中華料理にはしいたけが含まれていた。しいたけによるflagellate erythemaと診断し、皮膚軟化剤の使用で2週間ほどで消退した。

Flagellate erythema(むち打ち様皮疹)は、主に体幹に現れる線形もしくは曲線状の皮疹で当初ブレオマイシンの副作用として報告されたが、ドセタキセル・ペプロマイシンなどが報告されている。皮膚筋炎、SLE、AOSD、パルボウイルス感染でも見られることがある。しいたけへのHypersensitivityによりこのような皮疹が出る場合がある。12時間〜5日後付近で出現し、しいたけ業者や栽培者にも見られる。かゆみを伴うこともあり、掻破痕に一致して出現することもある。

これはブレオマイシンのむち打ち様皮疹。
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https://academic.oup.com/qjmed/article/105/9/901/1551477

これは皮膚筋炎のむち打ち様皮疹。Gottronと爪周囲紅斑がありますね。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25958950

下肢の紫斑の原因は?

70歳男性が全身性皮疹が下肢から体幹に広がってきたと受診した。同時に足背の浮腫が向こう脛まで上がってきていた。かゆみや発熱、体重減少、寝汗、関節痛はなかった。薬剤の変更もない。彼には25年間の喫煙歴があった。CTで縦隔リンパ節腫脹と左上肺野に2cm大の引き連れのある腫瘤、副腎腫大を認めた。
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https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2729678

診断は?





















「肺小細胞癌に伴う白血球破砕性血管炎」

・皮膚生検では小血管の好中球の浸潤と壊死、赤血球の管外漏出を認め白血球破砕性血管炎と診断した(下写真)。肺腫瘤は生検で小細胞癌と診断された。進行肺小細胞癌としてシスプラチン、エトポシドによる抗癌剤治療が開始されたが、好中球減少性の敗血症で亡くなった。
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・白血球破砕性血管炎は腫瘍随伴症候群としては肺癌が最も多く、消化管癌・尿路腫瘍が続く。腫瘍随伴症候群としての白血球破砕性血管炎を認めた例で20-26%は肺癌であった。MDSに伴うこともある。

・白血球破砕性血管炎は重力依存性に下肢に出ることが多い。腫瘍随伴の場合は慢性の事が多い。生検ではIgG/MやC3の血管壁への沈着も認める。慢性経過ではIgA vasculitisも鑑別になるが、こちらでは再発性で症状のない期間が存在する。IgA vasculitisはpalpable purpuraの事が多いが、大人では壊死性・出血性になることも多い。
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https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/vasculitisGL.pdf

・IgA vasculitisは真皮浅層の血管壁にIgA/C3の沈着を認めるが、皮疹が出てから48時間たつと免疫グロブリンがほぼ消失する。C3は消失速度が遅いが、それでも72時間後には検出率は50%以下になる。そのため、IgAの沈着は証明できずC3のみ陽性の時がある生検は出現してから早期の皮疹をすることが重要

http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-101028.pdf


・他にはHBV、HCV、HIV、パルボウイルス、クリオグロブリン、全身性血管炎の検索も必要。

全身色素沈着の鑑別は?

40代の男性が6ヶ月前より右腋窩の腫瘤が大きくなり、また体重減少を認めたため外来を受診した。PET CTで腋窩リンパ節への集積と多発の肝腫瘤が見つかり、生検結果よりMelanomaと診断され、pembrolizumab(キイトルーダ®:PD-1阻害薬)による治療が開始された。

治療後より徐々に全身、爪床、眼球などが黒くなった。CT検査では右腋窩リンパ節、肝腫瘤は大きくなっていた。
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https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2734253

診断は?





















「Diffuse melanosis cutis」

Diffuse melanosis cutis(DMC)とはmalignant melanomaの患者でメラニンの沈着が増加することによる皮膚、粘膜の色素沈着である。男性白人に多く、年齢の中央値は50代である。また約7割でmelanuriaを合併する。髪や痰、内蔵も黒くなることがある。日光露光部位から黒くなり、足の方に広がっていく。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1810151

・DMCは転移性melanomaが診断されてから12ヶ月前後で起こる事が多い。病理ではメラニンで埋め尽くされた血管周囲組織球や皮膚結合組織に遊離色素が見られる。虚血や免疫学的反応、また治療によって腫瘍細胞が溶解し、メラニンの前駆物質が血流に入り、組織球に貪食されることで皮膚に沈着すると考えられている。もう1つの仮説としては腫瘍細胞からmelanocyte-stimulating hormoneが放出されるためとされている。

・DMCは予後不良のサインであり、予後は4-6ヶ月とされている。下の写真はDMCを診断された後も16ヶ月生存したmelanomaの患者。ipilimumab(CTLA-4阻害薬)が使用されたためと考えられている。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1508394

色素沈着の鑑別は薬剤性(アミオダロン、ミノサイクリン)、addison病、POEMS、ヘモクロマトーシス、ビタミンB12欠乏などでしょうか。最初の主訴がDiffuse Melanosis cutisのこともあるみたいなので注意です。下の記事で述べたように逆に白斑でやってくることもありますし、気をつけないといけないですね。




プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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