今日なに読もう〜病院総合医の論文日記〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

内分泌

糖尿病の治療目標を決めるのに考慮すべき因子とは?

Multimorbidityについての原稿を書いているのですが、糖尿病の治療目標を決めるのに考慮すべき因子をまとめていたところ、わかりやすい表になっている論文を見つけたので載せておきます。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcp1013127

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左の項目の目標HbA1cはADA(アメリカ糖尿病学会)の2018年のStandards of Medical Care in Diabetesに沿って約6%→約6.5%に変えています。自分たちが多疾患併存の患者さんの糖尿病治療目標値を考えるときに自然と考えている項目が整理されているので良いですね。

SIADHの原因検索をどこまでするか

SIADHは原因がわからないことも多いですよね。そんな議論になった時にボスから教えてもらった論文。

https://www.ejinme.com/article/S0953-6205(16)30028-0/abstract

SIADH 555名中、原因がわかった456名を除外した99名に対して更なる精査を行ったら原因がわかったかを見た論文。原因がわかった456名については147名が薬剤、146名が腫瘍、66名が呼吸器感染、39名がCNS disorder、58名が痛みや嘔気に関連するものであった。ベースラインでは問診、診察、血算、生化学、甲状腺/副腎ホルモン検査、胸部レントゲンを行っている。

さらなる精査は頭部、胸腹部CTとしています。99名に対して行われた精査は以下の通り。11名(11.1%)でSIADHの原因疾患が判明した。

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 判明した原因は悪性腫瘍7名、慢性呼吸器感染2名が含まれていた。
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まあ、偶発的に見つかっただけかもしれませんが。。個人的にはあまりCTまで行うことは少ないですね。

DMのHbA1cの目標値は?

先日までワクチンの原稿を書いていましたが、次は動脈硬化について書くことになりました。原稿を書く時は色々調べるので勉強になります。動脈硬化って奥深いな・・。

まずDMについて。HbA1cの目標値について調べています。ということでこの論文。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20110121

50歳以上の2型糖尿病患者の後ろ向きコホート研究。コホートA群は内服の単剤治療からSU剤とメトホルミンの2剤治療に変更になった患者 27965名(baseline HbA1c 9.0)、コホートB群は内服治療からインスリン治療に切り替えられた20005名(Baseline HbA1c 10.. DMの平均罹患期間はコホートA群で5.4年、コホートB群で7.8年とどちらも診断から5年以上経った患者を対象にしています。両コホートとも約4-5年フォローしています。

Primary outcomeはall cause mortalityで、フォロー後の平均HbA1cとの関係は図のようにU字を描き、HbA1c 7.5が最も死亡率が低かった。
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(AがコホートA群、BがコホートB群)

コホートA群では治療後HbA1cが7.0-9.0でほとんどリスクが変わりませんが、コホートB群ではHbA1c7.5-8.0が最もリスクが低いのがわかります。

large vessel disease eventのHRもHbA1c 7.5で最も低く、U字カーブを描きました。
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ですので、発症から時間がたったDMではHbA1cを下げすぎると逆に死亡やLarge vessel disease eventが増えるということですね。

これは罹病期間10年のDM患者をintensive therapy (HbA1c目標値 6.0%)とstandard therapy (HbA1c目標値7.0 to 7.9%)にrandomに振り分けると、intensive therapyは大血管障害を減らさず、死亡率が上昇したACCORD trialとも一致します。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0802743

罹病期間が短いDM患者の目標値はまた次回・・。
 

低Ca血症とMg値

低Ca血症を見たときはビタミンDや副甲状腺ホルモンの関与を考えますが、Mgも考えましょう。

低Mg血症では副甲状腺ホルモンの分泌を抑制するため、低Ca血症の原因となります。ちなみにNa-K ATPaseの働きを弱め、集合管に到達するNa、水分量を増やし、また集合管のRONK channelの抑制を弱めるため低K血症の原因にもなります。なので低Kも低Caもある時、特に検索しますよね。低Mg血症の原因は栄養障害、アルコール多飲、利尿薬、抗がん剤(シスプラチン)などが挙げられ、低K血症の原因とかぶります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18535072 

そこまでは何となく知っていましたが、表も見ると高Mg血症も低Ca血症の原因に書いてあります。へーと思ったので調べてみました。

スクリーンショット 2019-06-06 1.55.31 PM

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6709029

7名の妊婦に早産を防ぐためにMgを静注した際の副甲状腺ホルモンとCa値をcheckした。Mg値は30分で2.0→6.1mg/dLに上昇し、値は維持された。Ca値は徐々に低下し3時間時点で8.6→7.6mg/dLとなった。PTH値も30分で13.1→7.8pg/mlへと低下し2時間は基準値以下だった。これらから高Mg血症もPTHを抑制していた。

というわけで高Mg血症も頭の片隅に置いておきましょう。

Cushing症候群とAcromegaly

昼ごはんを食べながら読んでいた日本内科学会雑誌の座談会が非常に勉強になりました。Cushing症候群とAcromegalyを想起する練習。

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<Cushing症候群> 

Cushing症候群は肥満のイメージでしたが、うつ病及び摂食障害が伴う場合は痩せます。るいそうを呈する隠れCushing症候群に共通する徴候として以下のものがあるそうです。

・うつ病
・低カリウム血症
・白血球分画異常(好中球増多と好酸球低下)


あとは爪の白癬化(免疫力の低下)、皮膚の菲薄化などに注意ですね。

<Acromegaly>

Acromegalyは見た目で一発診断できるように。皮膚の疣贅、ゴツゴツした手、特徴的な顔貌(突き出た額、顎と分厚い唇)などに注意。
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上記の写真は1886年に初めてacromegalyという言葉が使われた患者の写真で当時37歳でした。24歳から無月経と頭痛を訴えていたそうです。そして徐々に手や舌が大きくなってくることに気づき、顔貌に変化が見られました。

幼少期に発症した場合には長管骨の成長板が閉鎖していないので、巨人症を起こします。
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逆に言うと大人になってから発症した場合は巨人症を起こしません。
 
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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