今日なに読もう〜病院総合医の論文日記〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

身体所見

58歳男性 爪が黒くなった。

今度は黒です。

58歳男性が爪が黒くなったと受診した。変化は2年前からで爪の遠位の側面から始まった。親指以外のすべての指に見られた。水や洗剤によく触れることもなく、仕事上特殊な薬剤に触れることもない。軽度の爪甲剥離と爪周囲炎が見られた。

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https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/article-abstract/531713

診断は? 





















「Proteus mirabilisによるBlack nails」

・爪の培養からは Proteus mirabilisとS.auresuが検出された。局所の抗菌薬治療で徐々に改善した。
・Proteus mirabilisが産生する硫化水素(hydrogen sulfide)が爪の中の金属成分と反応して作られる金属硫化物が黒くなる原因と言われている。 

同じ黒さでも爪郭や表皮とかまで行っている黒色腫に注意です。

 

53歳女性 爪が緑色になった

乾癬に対してエファリズマブ(抗CD11a抗体)で治療されている53歳女性が数週間前より両方の親指の爪の爪甲剥離部分が緑色になってきたということで受診した。

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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm0706497

診断は? 





















「緑膿菌感染に伴うGreen nail」

・爪の擦過物の培養からはPseudomonas aeruginosaとKlebsiella pneumoniaeが検出された。ナジフロキサシンの塗布を行い、2週後には改善を認めた。
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・Green nailは緑膿菌感染による色素沈着の一種である。緑色は緑膿菌が作る蛍光性のあるシデロフィア-ピオペルジンによる。
正常な爪には起こりにくく爪甲剥離爪周囲炎爪抜癖があり湿潤環境(水、洗剤、石鹸)にさらされる場合に起こりやすい。

・爪の感染はPseudomonas aeruginosa、Klebsiella pneumoniae、S.aureusなどがありPseudomonas aeruginosaは最も多い。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4298286/ 

68歳男性 禁煙後の爪所見

68歳男性、元々喫煙者であったが頭部外傷をキッカケに禁煙をしている。
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https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJM199404073301405

この爪の所見は?





















「Quitter's nail」

・喫煙に伴い爪甲に黄色の色素沈着することは"nicotine sign" と呼ばれ、よく見られる。突然禁煙することで色素沈着した爪とそうでない部分に境界ができることをQuitter's nailという(harlequin nailと書いている論文も).

・爪は1週間に約1mm伸びるので、色素沈着していない部分の長さを測ればいつ禁煙したか推測することができる。
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 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2295246

他にも喫煙者のサインとしては以下のようなものもあります。どちらもタバコの影響で皮膚の弾力性が失われるためです。後は歯のヤニとかもわかりやすいですね。

Crow's feet:眼の縁より走る深いシワ
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Cobblestone wrinkles:首の後ろのシワ
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3644846/

28歳男性 爪がボコボコになった

28歳男性が3年間で爪が変化してきたということで受診した。診察すると両手の全ての爪の表面に小さな穴が無数にあいており、爪の遠位側が黄色く変色していた。
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https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1803217

診断は?





















「乾癬に伴うNail pitting」

・診察上、肘と膝の外側面にウロコ状の紅斑も認めており、乾癬と診断した。関節症状は認めなかった。

・乾癬患者で爪病変は約80%に認められる。所見が爪のみという乾癬は珍しく5-10%程度。皮膚病変や関節症状を探すのが重要。

・乾癬の爪所見には変色(黄色やピンク色になる、oil-drop discolorationやsalmon patchesと呼ばれる)、爪甲剥離症(Onycholysis)、爪下角質増殖爪がボロボロになるsplinter hemorrhagesなどがある。

<爪下角質増殖>
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<crumbling;爪がボロボロになる>
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<爪半月のred spot>
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<splinter hemorrhagesと爪甲剥離症>
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 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26472140

48歳男性 爪がへこむ

48歳男性が爪が凹んでいると指摘されmedical campを訪れた。

眼瞼結膜にpallorなく、他の栄養障害の所見も無かった。採血でHb16.1, フェリチン166.2と鉄欠乏は認めなかった。彼はインドの標高3500mに住んでいる。

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3902968/

診断は?





















「高地居住に伴う匙状爪(Ladakhi koilonychia)」 
・高地に住んでいることは匙状爪の原因になる。原因ははっきりしないが、赤血球形成が活性化するため貧血や鉄欠乏の状態に近いから?と推測されている。

・二次性の匙状爪の原因には鉄欠乏が有名(鉄欠乏の5.4%に匙状爪は見られる)ではあるが、他にもヘモクロマトーシス、甲状腺機能異常、栄養障害(ビタミンC、亜鉛、銅欠乏)、乾癬扁平苔癬、爪真菌症、外傷や職業(美容師、自動車整備士)も原因になる。

・機序としては指の血流低下から爪下の結合組織の生成が阻害され、遠位の爪甲が近位に比べて沈下するとされている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27531645
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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