今日なに読もう〜病院総合医の論文日記〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

Vasculitis

Livedoは注意して見よう

MPA(顕微鏡的多発血管炎)の皮膚病変の1つにLivedoがあります。Livedoは軽い場合にはじっくり見ないと気づかない事があるなあと思います。MPAに多い皮膚病変はPurpura、丘疹、紅斑、Livedo、結節などです。

スクリーンショット 2019-06-21 14.27.38
スクリーンショット 2019-06-21 14.46.57
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17939936

Livedoは真皮以下の皮下脂肪織の小動脈分岐部付近の血流障害、血管障害を意味し、その末梢血管がうっ滞しマスクメロン状、網目状になることです。特に網目の網が閉じていないLivedo racemosaはより血管炎を示唆する。なのでLivedoの生検する際は網目の真ん中を取りましょう。 

鑑別はAPS、Polyarteritis nodosa、SLEなど非常に多いですね。

一方、Palpable purpuraは真皮上中層の壊死性血管炎でもう少し上の病変です。免疫複合体沈着型のIgA vasuculitisやクリオグロブリン血管炎でよく見られますが、MPAでも見られます。

腎障害あるAAVのリツキシマブ

リツキシマブシリーズで追加です。RITUXVAS試験ですね。腎障害のあるAAV患者(年齢中央値 68歳)が対象に3:1に割り付けたopen-label, two-group, paralleldesign, randomized trialです。

https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa0909169?articleTools=true

P:腎生検で壊死性糸球体腎炎像あり or 赤血球円柱 or 血尿(赤血球≧30)のあるAAV 44名

I:33名. リツキシマブ 375mg/m2を毎週4回行う。1,3回目のリツキシマブ投与時には15mg/kgのシクロフォスファミドを点滴で投与する。最初の6ヶ月で病状が進行する場合は3回目のIvCyを追加しても良い

C:11名. IvCyを3-6ヶ月継続し、アザチオプリン内服に変更する。

O:12ヶ月時点での寛解維持とsevere adverse eventの率

登録前に最大2gのステロイドパルスか血漿交換が重症度に合わせてされても良い。 割付後は1gのステロイドパルス後に1mg/kgで開始し、6ヶ月後に5mgまで減量。

結果としては12ヶ月時点での寛解維持はリツキシマブ群 76%、IvCy群 82% (95% CI, −33 to 21; P = 0.68)で優越性は示されませんでした。寛解達成までの日にちはリツキシマブ群で90日、IvCy群で94日でした。
スクリーンショット 2019-06-18 10.40.35

副作用は大きく変わらず。
スクリーンショット 2019-06-18 12.31.37

というわけで解釈が難しいですね。優越性試験で差がなかったから同等とは言えないですもんね。

AAVの寛解維持にリツキシマブ

続いて寛解維持にリツキシマブを使うとどうなるかです。MAINRITSAN試験ですね。
iryou_tenteki
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1404231

P:18-75歳のステロイド-シクロフォスファミド点滴で寛解導入したAAV115名(GPA 87名、MPA 23名、RLV 5名)

I:500mg リツキシマブをday 0, 14, 6ヶ月, 12ヶ月, 18ヶ月に投与
C:アザチオプリンを22ヶ月まで投与。12ヶ月間 2mg/kg、6ヶ月間 1.5mg/kg、4ヶ月間 1mg/kg

O:28ヶ月でのMajor relaspe rate(BVAS>0で臓器障害あり、生命を脅かす症状)

寛解導入療法はステロイドはPulse→1mg/kgから開始し徐々にtaper. 割付後18ヶ月までは5mgで維持。シクロフォスファミドは600mg/m2を day 0, 14, 28と投与し、その後は3週間おきに700mg/m2を3-6回投与する。そして最後のシクロフォスファミドから最大1ヶ月以内に割り付けられた。

結果:Major relaspeはリツキシマブ群 5%、アザチオプリン群 29%であった(hazard ratio for relapse, 6.61; 95% confidence interval, 1.56 to 27.96; P = 0.002). 

副作用は以下の通り。
スクリーンショット 2019-06-16 7.12.20 AM
 
ちなみにこの試験は60ヶ月時点も解析されており、Major relaspe free rateはリツキシマブ群 71.9%、アザチオプリン群 49.4%でした。PSL換算量もリツキシマブ群で9841mg、アザチオプリン群で11767mgとリツキシマブ群で少ない結果でした。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29724729

リツキサン®で寛解導入した場合は維持は最初は飛ばして半年に1回でいいですかね。後発品なら110498円/半年。アザチオプリンを毎日飲むと1.5mg/kg換算で約 37440円/半年ですね。

AAVの寛解導入にリツキシマブ

リツキサン®をついに使う日が来たかもしれないので論文を読んでみます。厳密では前職場で1回使ったことがあるのですが、あまり覚えていない。

medical_tenteki
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0909905

有名なRAVE試験です。シクロフォスファミドは不妊、発がん性、血球減少、出血性膀胱炎、感染、嘔気嘔吐など副作用も多いことからのリツキシマブの非劣勢試験です。

P:197名のAAV(ANCA Associated Vasculitis)の患者(GPA 148名、MPA 48名、BVAS/WG 3点以上)

I:リツキシマブ 375mg/m2/weekを4週
C:シクロフォスファミド 2mg/kg内服
O:Primary end pointは6ヶ月時点での寛解率(BVAS 0点)かつステロイドtaper完了。

a multicenter, randomized, double-blind, double-dummy, noninferiority trial. 非劣勢マージンは20%に設定。平均年齢は50代。

ステロイドは1000mgのPulse療法を1-3日行った後、1mg/kgで続け、1ヶ月で40mgに減量する。その後は2週間毎に30mg, 20mg, 15mg, 10mg, 7.5mg, 5mg, 2.5mg, and 0mg/dayと減量。3-6ヶ月で寛解に至った場合はシクロフォスファミド群はアザチオプリン2mg/kgに、リツキシマブ群はシクロフォスファミド偽薬をアザチオプリン偽薬に変更可。

結果はPrimary end pointがリツキシマブ群 64%、シクロフォスファミド群 53% (95.1% confidence interval [CI], −3.2 to 24.3 percentage points; P = 0.09)で非劣勢が証明されました。再発群ではリツキシマブが更に効果的であった(prmary end pointが67% vs 42%)

また腎障害あり群(尿赤血球円柱、腎生検で糸球体腎炎、CCrが30%以上増加)ではベースの腎機能はリツキシマブ群が悪かったが(53.8±29.8 ml vs. 68.9±41.6 ml)、治療後のCCrの上昇は両群で変わらず(11.2 ml vs10.5 ml)、Primary endpointも61% vs 63%と変わらなかった。
 
副作用は以下の通り、Leukopeniaがシクロフォスファミド群で多かった。
スクリーンショット 2019-06-16 7.12.20 AM
 
ちなみにリツキサン®は100mg 32212円、エンドキサン®静注は100mg 320円です。あまりエンドキサン内服を使うことは無いですね。

高齢の患者さんを診る事が多いですが、若い患者さんなら発がん性なども考えてリツキシマブでもいいのかなあと思いますね。後はメンテナンスをどうするかですか。これについてはまた次回。。

使い分けどうされていますか?

(追記)
リツキサン®は後発品も出ているみたいですね。100mg 22535円でした。
http://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med_product?id=00067174

(更に追記)
ちなみにこの試験は18ヶ月後もフォローされています。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa1213277

リツキシマブは4回投与で終了していますが、シクロフォスファミド群と比べて非劣勢でした(6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月の寛解率が64/48/39% vs 53/39/33%)。 シクロフォスファミド群はアザチオプリン内服を18ヶ月まで続けていますが、リツキシマブ群は4回投与後はPlaceboのみです(PSLは飲んでいます)。

再発群ではリツキシマブはシクロフォスファミドと比べて12ヶ月までは上回っていました。またPR3-ANCA群はMPO-ANCA群と比べて再発しやすいことも述べられていました。 

ANCA関連血管炎の肺病変

ANCA関連血管炎の2大巨塔はGPAとMPAだが、その肺病変についてまとめました。

MPAは肺胞出血と間質性肺炎(すりガラス陰影と蜂巣肺)
スクリーンショット 2019-05-05 14.17.05

GPAは結節と浸潤影で空洞を伴うこともある。
スクリーンショット 2019-05-05 14.15.15

というわけで同じ血管炎でも少し違うわけです。圧倒的に遭遇するのはMPAであるが、稀にMPO-ANCA陽性のGPA (約10%)もあるため全身症状+腎障害+MPO-ANCA陽性のパターンで来た際はGPAでは?と疑うのも重要。

GPAらしい肺病変がないか上気道病変(副鼻腔炎、眼窩腫瘤、鞍鼻、中耳炎)がないかcheckしましょう。GPAの腎病変は気道病変が先行する事が多いです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1739240

 
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: