今日なに読もう〜病院総合医の論文ブログ〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

不整脈

アデホス®を生理食塩水と混ぜて投与すると除細動率はどうなるか?

知り合いのTwitterで知った論文。アデホス®は上室性頻拍の際の治療や診断のために使われます。



しかし半減期が10秒以下と短いため、普通に静注するとライン内で不活化してしまいます。そのため、三方活栓を使って生理食塩水で後押ししますが、少し煩雑になりミスをしたり、準備が面倒なこともありますよね。
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そんなアデホス®ですが生理食塩水と混ぜると安定して不活化しにくいようです。知らなかった!

なのでアデホス®を生理食塩水と混ぜたものを静注しても薬剤的除細動できるのではということをみた前向き観察研究です。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31665806

対象は18歳以上のnarrow QRS tachycardiaでアデホスの静注が必要な救急外来受診者。血圧90以下、気管支攣縮の既往、還流不良のサインがある場合は除外。医師は以下の2パターンのうち、好きな方を選ぶ。

① アデホス6mgと生理食塩水18mlを1本のシリンジに混ぜて静注する(SS group)
② アデホス6mgと生理食塩水20mlを別シリンジで用意し、別々に投与する(TS group)


1回目でSinus returnしなければアデホスの量は12mgに増量され、直前と同じ方法で投与される。Primary outcomeは1回目の投与でのSinus return率. 患者の背景は以下の通り。

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1回目の投与でのSinus return率はSS groupが73.1%、TS group 40.7%であった。3回目までの投与でのSinus return率は100% vs 70.4%であった。TS groupでは1名のみ静脈炎を起こした。

というわけでこの観察研究では何も結論はつけられませんが、さらなる研究が期待されますね。

心房細動の除細動は何Jから?

心房細動は除細動してもSinus returnしなかったり、すぐに戻ってしまったりすることもありますが何Jで除細動しているでしょうか?

https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz585/5552545

心房細動患者276名(68±9歳、1年以上のAf 30%)をMaximum fixed(biphasic 360-360-360J) or Low-escalating(125-150-200J)をランダム割付したsingle-centre, single-blinded, randomized trial. 医師以外はBlindです。バイタル不安定、甲状腺機能亢進症が治療されていない患者は除外。

Primary endpointはDC1分後のSinus returnの%. 結果は3回行ってSinus returnが得られたのはMaximum fixed 88%、ow-escalating 66%であった。
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合併症に差はなかった。
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ということで最低150Jからがいいかも。そっから200Jで。270Jまでは使ったこと無いなあ。。

ペースメーカーの知識整理

今日の朝カンファはペースメーカー。苦手ですが知識整理中。

主に使うペーシングモードはVVIかDDD. 徐脈性心房細動ではVVI、洞不全症候群や完全房室ブロックではDDDが使われます。
・1文字目が刺激電極の位置
・2文字目が感知電極の位置
・3文字目がSenseした時のペースメーカーが行う応答(T:同期、I:抑制、D:両方)です。

I:InihibitionならSenseしたとき次のをやめる。Oversensingの際に心停止になりうるので注意。
T:Senseしたらtriggerを出す

徐脈性心房細動では設定されたインターバルで心室を刺激し、 自己脈を感知するとペースメーカーは抑制されます。DDDの場合は自己の心房波に追従してAV delayのタイミングで心室ペーシングを行います。

DDDの場合、心房頻拍や心房細動を合併した場合に頻脈を起こすことがあるので注意です。SSSでDDD pacemakerを留置された68歳男性がAfのf波をtrackingして頻脈を起こした症例報告があります。

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3942362

現在のペースメーカーではオートモードスイッチしてDDDがVVI/DDIに変わるため、過剰なTrackingは起こらないようになっていますが、f波がアンダーセンシングされる場合はオートモードスイッチしない場合もあるようで注意です。心房細動があると感度を下げる場合もあるようです。

うん、勉強になりました。

上室性頻脈のアデノシンの反応

上室性頻脈にはPSVT、心房細動(Af)、心房粗動(AFL、特に2:1)、心房頻拍(AT)があります。治療や鑑別にアデノシン(アデホス®)を使うことが多いですが、使った際の心電図の変化をまとめます。アデホス®は洞房結節、房室結節に作用します。
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https://www.bmj.com/content/345/bmj.e7769

Frog signが出るAVNRTでは伸びたあと、停止します。補充調律が数回入るときもあります。AVRTではでも同様に停止し、Sinusに戻った際にデルタ波が見えます。

AVNRTとAVRTの心電図については以下でまとめています。


long RPになるATではアデホスを入れてもP波が残り止まらない事が多いです。focalなものでは止まることもあります。AfやAFLではf/F波がわかりやすくなり、再度頻脈になります。

Afに対するアブレーションの効果は

いつも読ませていただいているブログに紹介されていた論文。AfでアブレーションするとQOLはどう変わるか?

https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2728485

30-70歳の 少なくとも6ヶ月有症状の心房細動を持ち、β-blockerを含む1種類の抗不整脈に抵抗性 or intoleranceだった患者をopen-labelでrandomにアブレーション(肺静脈隔離術)と過去に試していない抗不整脈薬に割り付けたmulticenter randomized trial(PROBE法を使用). 除外項目はNYHA Ⅲ-Ⅳ、EF35%未満、LAが60mm以上、過去にアブレーションの既往など。抗凝固薬はアブレーション1ヶ月前からアブレーション3ヶ月後まで使用されています。

Primary Outcomeは12ヶ月時点での General Health Subscale scoreのベースラインからの変化(SF36を使用。0-100点で点数が高いほどQOLが高い). 

General Health Subscale scoreはAblation群で61.873.9点、Medication群で62.765.4点と有意にAblation群で改善しました。PROBE法だけどSoft outcomeなのは少し問題かもしれませんね。

ただ、興味深いのはこの研究では埋込み型ループレコーダーを使用し、アブレーション後のAfについてモニタリングでしている点です。24時間ホルター心電図もbaseline、6、12ヶ月と取られています。が12ヶ月時点での24時間ホルター心電図ではAfが無かったのは84.9% vs 78.4%でしたが、ループレコーダーでは25.3% vs 29.7%と大きな差がありました。

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つまりアブレーション後も75%でAfが再発しているということです。

Afのtotalの時間はAblation群 24.9%→5.5%、Medication群で23.3%→11.5%と差が出ておりこの差がQOLの差につながっていると考えられますが、再発は多いという結果になりました。しかも24時間Holterでは捕まえられない。

不整脈非薬物治療ガイドライン2018(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2018_kurita_nogami.pdf)にも「再発を考慮し、血栓塞栓症リスクが高い症例では術後 3 ヵ月以降の抗凝固療法を継続することが望ましい」と書いてありますし、CHADS2 scoreなどが高い症例ではアブレーション後も抗凝固療法が必要なことの裏付けになったかと思います. (どれくらいの期間のAfが血栓リスクになるかは不明ですが。。)
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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