今日なに読もう〜病院総合医の論文ブログ〜

京都の上さまの元で病院総合医をやっています。バランスの取れた一流の病院総合医目指して修行中!論文メインに挙げていきます。

皮膚筋炎

皮膚筋炎特異的抗体の各群と特徴は?

今週のNEJMのClinical problem solvingは抗TIF1γ抗体陽性の皮膚筋炎でしたので、皮膚筋炎特異抗体(Myositis-Specific Autoantibodies)の整理を。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29637414

皮膚筋炎は非常にHeterogenousな疾患群であることが知られています。だんだん抗体が測定できるようになってきて各抗体陽性群の疾患特徴がわかってきました。特徴は以下の図の通り。

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<抗Mi-2抗体>
・間質性肺炎、悪性腫瘍の合併率は低い。
爪床点状出血がよく見られる。
・CK/LDHは高い。筋生検では炎症は激しい。治療反応性は良い。
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<抗MDA-5抗体>

・アジア(11-57%)に多い(白人は0-13%)
・筋生検では典型的な皮膚生検の所見(筋束周辺萎縮、毛細管欠損、tubuloreticular inclusion)はなく、NOS-2陽性筋繊維を認める。
間質性肺炎を合併し、致死率が高い。炎症性関節炎も合併しやすく、RAや乾癬性関節炎と間違えられることがある。筋炎を認めないAmyopathic DMの形を取ることもある。
・皮疹は脱毛やCalcinous cutis(石灰沈着症:指尖潰瘍と関連する)、皮膚潰瘍が特徴。
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潰瘍については以前まとめましたね。


<抗NXP抗体>
悪性腫瘍合併率が高い。間質性肺炎は少ない。
・筋力低下(遠位優位になることも)、筋痛、嚥下障害が多い。約3割で末梢浮腫を認める。Calcinous cutisも多い。
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<抗TIF1γ抗体>
4-7割で悪性腫瘍を合併する
・Raynaud症状、関節炎、間質性肺炎は少ない。筋症状は認めるが、CKやアルドラーゼはそれほど上がらない。皮膚所見は特徴的なものはなく、DMに典型的な物に加えて、乾癬様皮疹・手掌や手指の屈側面の小丘疹・red-on-white lesionsを認める。
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<抗SAE1/2抗体>
・嚥下障害が多い。
・間質性肺炎は重症度は低い。肺高血圧を合併する。

<抗ARS抗体>
・抗Jo-1抗体、抗Pl-12抗体、抗PL-7抗体、抗EJ抗体、抗OJ抗体、抗KS抗体、抗Zo抗体、抗Ha/YRS抗体を含む。
・関節炎、筋炎、間質性肺炎に加えて、発熱・Raynaud現象を認める事が多い。Mechanic handやHiker's handが皮膚所見で特徴。
・治療反応性はよく予後は良好。
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48歳男性 呼吸苦と手の潰瘍

昨日は内科学会の「内科学の展望」に参加しました(専門医更新の点数稼ぎ). そこで知った所見。

48歳男性が手の有痛性の潰瘍で皮膚科を受診した。潰瘍は6ヶ月前より出現し、同時期より労作時呼吸苦を認めていた。潰瘍は進行性に悪化しており、手掌・肘に認めていた。口腔内に潰瘍と眼窩周囲にも認めている。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31365803

診断は?






















「抗MDA5抗体陽性 皮膚筋炎」

・筋力低下や関節炎は認めず、胸部CTで境界明瞭な結節陰影を認め器質化肺炎と考えられた。採血で抗MDA5抗体陽性であり抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎と診断した。下部消化管内視鏡やCTでは悪性腫瘍は認めなかった。ステロイド治療と免疫抑制剤(ヒドロキシクロロキン、MMF、IvIg)や血流改善治療(アスピリン、ニフェジピン、シルデナフィルなど)が施行され、潰瘍は治癒し呼吸器症状も改善した。

・抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎は筋症状に乏しく、間質性肺炎は急速に進行し治療抵抗性である。典型的な皮膚筋炎の皮疹(ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候、ショールサイン)に加えて、特徴的な皮膚症状としてゴットロン徴候の潰瘍化、口腔内潰瘍、有痛性の手掌紅斑/丘疹、脱毛症、脂肪織炎などがある。

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29229575

<指節関節の内側手掌紅斑、丘疹>
・鉄棒まめ様皮疹ともいう。過角化(B)や潰瘍化(C)することも。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21531040

別論文でも手掌丘疹。
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https://pdfs.semanticscholar.org/e9ea/9093f9b135110dda56b8662872d4ce559ef7.pdf

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29229575

<ゴットロン徴候の潰瘍化>
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21531040

皮膚筋炎の中でも抗MDA5抗体陽性に特徴的な皮膚病変パターンがあることは知りませんでした。迅速な治療介入が必要な疾患なので重要ですね。
プロフィール

nagano1123

関西で一流の病院総合医目指して修行中

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